「CFIUS」は「Committee on Foreign Investment in the United States」の略で、日本語では「対米外国投資委員会」と訳されます。片仮名表記では普通シフィウスです。
CFIUSは海外からアメリカ合衆国に対する投資を監視しています。外国、また外国の企業が「合衆国の企業を買収する」「合衆国の不動産を買う」などを行う場合、合衆国の安全保障上の問題とならないか?合衆国に不利益をもたらさないか?を審査するのです。それが合衆国に不利益をもたらすと判断できれば、CFIUSは取引を中止するよう大統領に勧告。最終判断は大統領が行うという仕組みです。
例えば、ある国が買収しようとしている合衆国企業に重要な最先端の技術があり、この買収が実行されると外国に技術が流出してしまういった場合には、CFIUSの審査⇒大統領の決定というプロセスを経て止めることができるのです。
■「トランプタワー」の近所のビルの所有権を手放せ!
直近では、2018年08月に報道された例があります。CFIUSが中国企業「海航集団」に対して「850サード・アベニュー」ビルの所有権を手放すよう命じたのです。海航集団は、2016年にこのビルの90%の所有権を取得したのですが、このビルはトランプ大統領の居住する「トランプタワー」の近所にあって、しかもビル内にはトランプタワーの警護を行う企業が入居していました。
ですから、CFIUSはトランプ大統領の安全を守るために海航集団に指示を出したものと考えられます。ただし、CFIUSは海航集団になぜ売却しなければいけないのかについては全く説明をしなかったようです。海航集団としては「今言わずに購入するときに言ってくれよ」と思ったかもしれませんね。
合衆国と中国の確執が深まるにつれCFIUSの役割も重要になっています。CFIUSは中国による企業買収を経由した技術流出への防波堤でもあるのです。
(柏ケミカル@dcp)