日本語で「アメリカ自由法」あるいは「米国自由法」と呼ばれる法律は、アメリカ合衆国が2015年06月02日に成立させた公法第114-23号「2015年通信監視活動に係る実効的原則の確保及び人権の充足により米国を統合し強化する法律」のことです。
英語では「UNITING AND STRENGTHENING AMERICA BY FULFILLING RIGHTS AND ENSURING EFFECTIVE DISCIPLINE OVER MONITORING ACT OF 2015」ですが、あまりに長いタイトルなので、「USA FREEDOM Act of 2015」と略します。これを訳して日本語では「アメリカ自由法」「米国自由法」と呼ぶのです。
「アメリカ自由法」は、「愛国者法」(2001年に起こった同時多発テロ事件を契機に同年10月26日に成立)の時限条項が2015年05月31日に失効したことを受け、成立しました。
これには、愛国者法を根拠とするNSA(National Security Agencyの略:国家安全保障局)の行き過ぎと考えられる情報収集が問題となったことが背景にあります。いわゆる「スノーデン事件」が起こり、愛国者法を盾に国家の機関がいかに個人のプライバシーを侵害していたかが明るみに出てしまったのです。
アメリカ自由法は愛国者法から以下の点を変更することを目指しています。
・個人情報を大量に収集するプログラムを止めること
・情報収集の範囲を限定すること
・収集した情報の保存期間を限定すること
・通信監視活動の透明性を高めること
ただし、アメリカ自由法を根拠とする現在の情報監視活動が、愛国者法を根拠としていた時よりも緩やかになったのかというと、そんなことはありません。IT技術も進化していますし、監視活動の重要性は増すばかりです。ネットワーク空間ではさらに激しい諜報活動が行われていると考えるべきですね。
(柏ケミカル@dcp)