韓国内どころか世界的注目を集めている「言論仲裁および被害救済などに関する改正案」、いわゆる「メディア規制法」ですが、まだ本会議で可決されていません。
2021年08月31日の午後、政府与党『共に民主党』と野党『国民の力』の院内代表が合意書に署名しました。
同法案の上程を09月27日まで引き延ばし、両党から議員2人ずつ、それぞれの党が推薦するマスコミ関連の専門家2人ずつ、計8人から成る協議体を作り、ここで法案の中身について継続協議を行う――という合意書です。
午前に提出されたこの合意書は、各党の議員の追認を受けましたので決まりです。
とりあえず、野党は来月26日までの時間を稼いだわけです。しかし、まだ油断はできません。
メディア規制関連はさらに大ごとに!
与野党のにらみ合いの中、同法を巡ってさらに大ごとになってきました。
『韓国新聞協会』『韓国親文在寅放送編集人協会』など大手メディア団体7つが、2021年08月30日、国会で共同記者会見を開き、直ちに同法案を撤回せよと要求しました。
興味深いのは、これだけ騒ぎになっているのに、我関せずで音無しの構えの青瓦台・大統領府に対して判断を強要する要求を出したことです。
「大統領は拒否権を行使しろ」との要求を掲げました。踏み絵です。
政府は立法府の行動には手出しできないのを建て前にほっかむりを決め込むという卑怯な態度を取っている大統領府、文在寅大統領に対する強烈なパンチです。
30日、7団体が掲げた国会と政府に対する要求は以下のとおりです。
1.「メディア仲裁法の改正案」の国会本会議強行処理を直ちに中断せよ。
2.今回の改正案は、全世界的に類例を見ない規制を科す悪法である。民主党が多数の議席を頼み、メディア悪法を強行処理するなら、これは憲政史に汚点を残す犯罪であり、そのことを悟るべきである。
3.民主党はメディア悪法がマスコミ被害者救済法という偽のニュースを流布し、世論を糊塗していてはならない。
4.民主党はメディア仲裁法改正案について野党と各界の意見を聴取し、これを反映させるべきである。
5.文在寅大統領は改正案が国会を通過し、政府に回されたなら拒否権を行使せよ。
2021年8月30日
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
文大統領がいつまで知らぬ存ぜぬを通すか分かりませんが、拒否権を行使せずそのまま裁可すれば推進したのと同じことです。
決戦は次月に先送りになりましたが、韓国メディア団体がいう「全世界的に類例を見ない悪法」が通過するかどうか、ご注目ください。もし通過したら、それは言論の自由を自ら制限したことであり、とても民主主義国家とはいえない自傷行為です。
言論の自由があって権力者を批判できるからこそ、世の中を良くしていくことができます。日本はもって他山の石とすべきでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)