韓国の原子力発電所がいかに杜撰な管理下にあるのかの証明のような話です。
地下水へ「高濃度冷却水」流入の顛末
韓国の月城原子力発電所「1号機」の使用済み核燃料貯蔵プールで漏れが発生し、トリチウム(三重水素)を含む冷却水が地下水に混入するというインシデントが明らかになっています。
そもそも、この施設は、幅12メートル、奥行20メートル、深さ7.8メートルの大きさで、冷却水を張って、ここに使用済核燃料をいったん沈めて保管するためのものです。
プールの内側は、冷却水が染み出ないようにエポキシ樹脂でコーティングされています。
しかし、この樹脂が熱、あるいは放射線によって劣化した場合にはその下のコンクリートが直に冷却水に触れるのです。コンクリートには水が染みます。また、コンクリートは水に長時間触れていると劣化が進行します。
実際にエポキシ樹脂の劣化は珍しくはなく、『韓国水力原子力発電』の「月城原発敷地内の地下水のトリチウム管理の現状および措置計画」によれば、月城原発において使用済み核燃料プール、使用済み樹脂貯蔵タンク、液体廃棄物貯蔵タンクで2018年以降にエポポキシ樹脂を10回も補修しているのです。
また、プールの下には遮水膜があるのですが、驚くべきは、2012年の補修工事の際にこれが損傷していることです。施工会社が(格納建屋のろ過排気設備を設置するために)基礎を打ち込み、その際に遮水膜を突き抜いてしまったのです。
放射性物質はこのような不備によって地下水に混入していると考えられ、その証拠に、上記「措置計画」文書内には、2019年08月から2020年05月にかけて遮水膜の上に溜まった水を集める集水槽から、最高で「35万4,000ベクレル/リットル」のトリチウムが検出されたと書かれています。
また、遮水膜のその下の地下水からも最高「3万9,700ベクレル/リットル」のトリチウムが検出されています。
2014~17年の月城1、2号機からの通常の排水の最大濃度は平均で「39.52ベクレル/リットル」ですから、地下水のトリチウムの濃度は最高で1,000倍を超えているのです。
さらに、世にもあほらしことに、このプールがある場所は、豊水期には地下水脈がプールの底を超えて流れることも分かっています。つまり、もしトリチウムを高濃度で含んだ冷却水がプールから漏れ出したら、確実に地下水脈に流れ込む場所にこのような施設を造ったのです。
建設する際に十分な調査を行ったのか、それでも建設したのかが問われます。素人でも思いつくようなことに対処しなかった愚かな決断という他はありません。
で、ここまでは既報です。
2021年09月08日、『jtbc』の報道でさらに愚かしいことが発覚しました。
韓国原子力当局は放射性物質の流出を知っていた!
『jtbc』は月城1号機で作業を行った人の発言を記録した音声データを入手したと報じました。
2019年03月の音声としていますが、Aさん(作業員:仮名)は問題を人事委員会に報告しましたが、「2012年度に建物を壊し、床を突き抜きました。6年間審査した人も『KINS』(韓国原子力安全技術院:筆者注)も音沙汰がありません。『韓水原』はなんの関心もない」と語っています。
この音声が本物で報道が正しいのだとすれば、少なくとも2019年から、あるい2012年以降のどこかの時点で知っていたはずです。報告はあったのに韓国の原発管理を行わなければならない政府機関は何もしなかった、ということになります。
また、Aさんは2019年03月時点で「月城敷地の地下水ではトリチウムの濃度がとても高いです」とも語っています。
これが真実なら「韓国政府の全くの怠慢」という他ありません。
自分たちはこのような杜撰極まりないことを行っておいて、日本の処理水についてけちをつけるのです。いったいどういう神経をしているのでしょうか。
⇒参照・引用元:『jtbc』「【独占】放射性物質の流出、数年前から知っていた…録音入手」
(吉田ハンチング@dcp)