アメリカ合衆国で第2期トランプ政権が始まりました。
「あのオッサンは何をするか分からん」と世界各国が戦々恐々としているのですが、韓国も同じです。
なにせ、あの反中大将のMarco Antonio Rubio(マルコ・ルビオ)さんが国務長官ですし、第2期トランプ政権は、対中国封じ込めの動きがまさに正念場を迎えると思われます。
※上掲の過去記事では反中大将の中にマルコ・ルビオさんは入っていませんが、後にルビオ議員もめでたく「反中大将」に仲間入りとなりました。
合衆国が中国を締め上げて、その上で「お前は合衆国側なのか、それとも中国側なのか」と詰められたときにどうする?――が最も問題です。
明らかに自由民主主義国側に舵を切った尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は内乱罪で起訴されて拘置所にいますし、次期大統領の呼び声が高い『共に民主党』の党首李在明(イ・ジェミョン)さんは「台湾に謝謝、中国にも謝謝と言っときゃいいんだ」と主張した人物です。
これで米韓の外交がうまくいくとは到底思えませんが、それを心配したのか、韓国メディア『毎日経済』がおかしな記事を出しているのです。以下に同記事から一部を引用します。
(前略)
トランプは、従来の外交方式では対応が難しい人物である。友好国にとって驚くほど無理な要求をすることもあれば、損をすると感じた場合には平然と約束を撤回することもある。韓国にとっては、現在の弾劾訴追の影響で外交が停滞している状況を、国内政治が正常化した直後から取り戻すため、全力を尽くさなければならない。
対米外交の最前線である駐米韓国大使館が、トランプ時代の政策変化に迅速かつ機敏に対応する「イルカ外交」(原文は돌고래 외교:引用者注)の前哨基地となる必要がある。外
(中略)
駐米韓国大使館は、主要国と比べて議会外交においても劣勢だと評価されている。
外交関係者によると、駐米韓国大使館の議会担当人員は駐米日本大使館の3分の2程度であり、頻繁な人事異動の影響で専門性も弱い。
日本は議会担当の公使(高官)を別途配置している。
(中略)
アメリカの政策を予測し、韓国に有利な世論を喚起するためには、アメリカのシンクタンクを攻略することも必須である。
(中略)
しかし、駐米韓国大使館はシンクタンクとの関係管理能力が不足している。
外交関係者によると、大使館でアメリカのシンクタンク業務に関与する人員はわずか3名に過ぎない。
ある外交関係者は、「現在の大使館の人員では、主要シンクタンクとの基本的なネットワークを維持するだけでも精一杯の状態だ。このままでは、長期的に関係を維持することさえ難しくなる可能性がある」と指摘した。
駐米韓国大使館がシンクタンクや議会を対象とした外交活動に苦戦する根本的な理由として、予算不足が挙げられる。
シンクタンクの管理や議会外交は「公共外交」の分野に属するが、昨年の韓国外交部の公共外交関連予算は161億300万ウォンに過ぎなかった。
一方、日本の2022年の公共外交予算は約5,858億3700万ウォンであり、韓国の36倍に達する。
このような状況にもかかわらず、アメリカでの公共外交に活用される関連予算は、過去3年間で削減され続けている。
昨年、外交部の「北米地域国家との戦略的特別協力関係強化」のための予算は52億9,800万ウォン(約6億円)で、前年より5.1%減少した。
(後略)
まず「イルカ外交」って何? なのですが――「合衆国と中国という巨大なクジラの間を自由に泳ぐことができるイルカにならなければならない」という意味だそうです。
こういう意見が出るだけで全く情勢が理解できていないことが分かりますが、合衆国のシンクタンクに対応する人員が足りていないし、外交のための予算も足りない――という話をするのに、わざわざ日本と比較していることです。
韓国:161億300万ウォン(2021年基準)
日本:5,858億3,700万ウォン(2022年基準)
(日本は韓国の約36倍)
予算については上掲のように述べていますが、韓国は韓国で独自の外交をしているのですから、日本と比較する必要などないでしょう。
なぜ日本と比べないとならないのでしょうか。
また、韓国は何かにつけて、政府がお金をもっと出せばいいんだ――という結論に至ります。逆にいえば「政府がお金を出さないからうまくいかないんだ」という結論です。
外交までそうなのですか?
(吉田ハンチング@dcp)