念のために最初にお断りしますが、筆者が述べているのではありません。保守系の韓国メディア『朝鮮日報』の記事タイトルです。
韓国の文在寅大統領は、そもそも「脱原発」公約を掲げて当選。そのため、大統領に就任してからクリーンエネルギー政策を推進してきました。「2050年にカーボンニュートラルを実現する」と宣言していますが、そのためのロードマップはとても実現できないようなものとなっています。
これは「脱原発」が前提にあるためです。
例えば、あれだけカーボンニュートラルにかまびすしい欧州でも「原発を廃止して」とはしていません。むしろ炭素中立を達成するためには原発を積極的に活用して……というのが基本的な態度なのです。
つまり、韓国の「カーボンニュートラル」は、欧州ですらしない独自の無理を背負い込んで達成しようとしています。
無茶な道に突進している韓国政府の姿勢について、『朝鮮日報』が環境団体『Greenpeace(グリーンピース)』の共同創設者の一人であるPatrick Moore(パトリック・ムーア)博士にインタビューを行いました。
2021年12月06日付け同紙の記事から注目ポイントを以下に引用します。
(前略)
ムーア博士は「化石燃料依存度を減らすことは必要だが、原発なしで再生エネルギーのみに置き換えられるというのは深刻な妄想」と話した。原発や化石燃料のような基本となる発電なしで安定した電力供給は可能ではないという理由からだ。
彼は「再生エネルギーは莫大な政府補助金と税金減免、エネルギー貯蔵装置(ESS)の設置など多くの費用が要るが、原発のようなあまり高価でない技術を使う時より国を貧しくする」とも述べた。
ところが、韓国をはじめとする一部政府はまるで再生エネルギーだけでエネルギー転換が可能であるかのような幻想を与えている上に、結局、高価な再生エネルギー生産コストはある意味、国民が負担しなければならないという点で「ポンジ詐欺」と違わないということだ。
(中略)
彼は「太陽光と風力は経済全般の『寄生虫』」とした。「広い面積の土地を無駄にし、日光が差さず、風が吹かないときは原子力・水力・天然ガスのような安定的なエネルギー源が支えられなければならないから」だ。
(中略)
「脱原発はエネルギー貧困国になる『愚かな(foolish)政策』」であり、「無理な炭素中立履行計画は科学的・技術的に実現可能であると証明されたことのない『政治的目的』に過ぎない」とした。
(後略)
ムーア博士は、韓国文政権のカーボンニュートラルがまさに幻想であり、「政治目的」以外のなにものでもないことを鋭く指摘しています。
また、例の世界遺産になった干潟に風力発電施設を造る件については、以下のように指弾されています。
(前略)
現政府が注力している事業である「全北群山市セマングム太陽光事業」についても「干潟こそ必ず保護されなければならない生産的な海洋環境なのに、『環境にやさしい干潟を埋め立て、干拓地に太陽光を作る』という現実が皮肉だ」とし「むしろ干潟を維持して原発2、3基を増設することが、土地も少なくて済み、生物を保護し、エネルギーをより安定的に供給する方法だ」とした。
(後略)
※引用元は同上
ムーア博士の指摘は、要するに「韓国政府はナニをやってるんだ」という罵倒です。しかし、現在の文政権は聞く耳を持たないでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)