2021年第4四半期の業績がFIXして、韓国企業の業績開示が始まっています。韓国造船大手『サムスン重工業』が2021年通年の業績を公表したのでご紹介します(ただし暫定版)。
韓国の造船大手Top3は、『サムスン重工業』『現代重工業』『大宇造船海洋』といわれています。
何度かご紹介しているとおり、『サムスン重工業』と『大宇造船海洋』が合併する予定だったのですが、EU公取当局が結合審査で不許可としましたので、この計画はご破算。『大宇造船海洋』は他に再建の方法を模索することになりました。また、『サムスン重工業』が合併計画を取り消しています。
『大宇造船海洋』を救うはずだった『サムスン重工業』ですが、実は自身の業績は非常に悪いのです。
2022年01月27日に『サムスン重工業』が出した業績変更の公示では、2021年の実績は以下のようになるとしています。
2021年度の業績
売上高:6兆6,220億ウォン(-3.5%)
営業利益:-1兆3,120億ウォン(-24.5%)
当期純利益:-1兆4,521億ウォン(+2.7%)※( )内は対前年比
⇒データ引用元:『韓国金融監督院DART』公式サイト
本業の利益を示す営業利益は前年より「24.5%」も減少して「-1兆3,120億ウォン」の赤字です。
『サムスン重工業』自身は赤字が拡大したことについて、「鋼板の資材単価の値上がりが鈍化するだろうと見込んでたところ――下がらなかったこと」「ドリルシップの在庫評価損」などが原因としています。
しかし、経営というのは最悪の状態を予想してするものではないでしょうか。「鋼板価格が下がるだろう」などという見込みの元に経営を行っているというのは、あまりにも浅薄な話です。また、ドリルシップの件はMoney1ではしつこくご紹介していますがそもそも分かっていたこと。
2021年12月01日に「ドリルシップ1隻売却に成功」というプレスリリースを出していますが、むしろこちらの方がサプライズです。
『大宇造船海洋』を(国策銀行の指導で)救済合併しようとしていた『サムスン重工業』ですが、自社だって相当経営が危ういのです。
まだ暫定なので明確に締まってはいませんが、2021年第4四半期がこのまま赤字ということで確定すれば、驚くなかれ「17四半期連続の赤字」です。
「よく会社が続いているなぁ」というのが本当のところです。いつ沈没したっておかしくありません。
韓国にとっては残念なことですが、主力輸出産業に数えられる造船業最大手の実情というのはこのようなものなのです。
(吉田ハンチング@dcp)