韓国洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官が体を張って赤字国債の巨額発行を止めたかもしれません。
韓国メディアに「政府与党が35兆ウォンの補正予算を断念して政府案の14兆ウォンを単独可決する見込み」という報道が出ました。
大統領選挙の思惑が絡んでもめまして……
小商工人・個人事業主の窮地を救うため、補正予算を組むことになったのですが、政府案では14兆ウォン。
ところがこれに次期大統領選挙の行方が絡んで与野党がばらまき拡大を主張。
政府与党『共に民主党』は約35兆ウォン、最大野党『国民の力』は50~54兆ウォンという規模でした。
当然このような財源はありませんので、政府は赤字国債を発行しなければなりません。
先にご紹介したとおり、これ以上韓国政府の負債を増加させると韓国の信用格付けが低下する恐れがあります。時悪しくも信用格付け会社との協議シーズンです。この協議の矢面に立たなければならない洪長官としては、赤字国債の規模を拡大させるわけにはいきません。
与野党は「票買い」、政府は「国としての格付け」と両者が全く違う方向を見ているので、話がかみ合うはずもなく、もめていたのです。
ところが……。
与党・政府が悪知恵を巡らせたか
『ChosunBiz』の記事から一部を以下に引用します。
(前略)
『共に民主党』と『国民の力』、政府が、小商工人に対する防疫支援金規模を巡って意見が対立。コロナ19被害支援のための新年初の追加経済予算案の処理が遅れている中、『共に民主党』は18日に追加予算の単独可決処理の可能性を公言した。
『共に民主党』は、政府が提示した1人当たり300万ウォン規模の防疫支援金を優先支給し、大統領選後に2次追加予算案を上程して増額するという計画だ。
大統領選挙を控えて時急性を勘案し、事実上「主張していた35兆ウォン規模の増額」はいったん破棄し、大統領選挙後に延期するということだ。
(後略)
現在、次期大統領選挙戦では、野党『国民の力』の統一候補である尹錫悦(ユン・ソギョル)さんが有利ですが、仮に当選したとしても国会(立法府)は圧倒的に『共に民主党』に押さえられています。
そのため、『共に民主党』がその気になれば、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の下でも法案を数の論理で通過させることが可能です。与党『共に民主党』としてはこのままもめるよりも、迅速に政府案で通過させて、得点を稼いだ方がいいと判断したようです。
また、政府案で通過すれば、政府としても信用格付け会社との話し合いに自信を持って臨めるでしょう。この協議シーズンが過ぎて格付けさえ維持できればいいのです。来年のことは来年考えればいいというわけです。
『共に民主党』・政府双方にとっていいプランではないでしょうか。こういうのを悪知恵といいます。
洪長官もほっとひと息か
洪長官にしてみれば、これから信用格付け会社『Moody’s(ムーディーズ)』『S&P』と渡り合わなければならないので、韓国の信用格付けが下がるような巨額の国債発行など絶対に避けたいところ。
間違っても「韓国の信用格付けを下げた財務長官」なんて汚名を着せられるのはまっぴらご免でしょうから、個人的にも必死だと推測できます。
『ChosunBiz』の報道が正しければ、洪長官の体を張った阻止は功を奏したようです。ただこれで格付けが維持できるかどうかは分かりません。
今年はなんとか言いくるめることが可能かもしれませんが……。
(吉田ハンチング@dcp)