韓国を揺るがしている「検察から捜査権を完全に剥奪する法案」。
先にご紹介したとおり、現政府与党『共に民主党』と最大野党『国民の力』の間で最悪な妥協が成立しました。
朴国会議長の仲裁案を入れ、「検察から捜査権を完全に剥奪する」という方向は変わらず、「政治腐敗の犯罪」「経済犯罪」の二つについては一時的に検察庁に捜査権を残す――となりました。
このほとんど変わらない検察骨抜き法案に検察庁の上層部が一斉に辞表を提出。全くなんのために野党があるのかという話になっていました。
ところが、2022年04月24日、『国民の力』の李俊錫(イ・ジュンソク)代表がこの与野党合意について、「明日(本日04月25日:筆者注)最高会議でこの交渉案について再検討する」と表明しました。
自身のSNSでは「いわゆる検捜完剥議論がわが党の議員総会で通過したとはいえ、深刻な矛盾点がある状況でこれ以上の立法推進は無理」と述べています。
つまり、『国民の力』代表自身が合意をひっくり返すような発言を行いました。
李代表は、①立法公聴会の実施、また②ハン・ドンフン法務部長官候補の公聴会で本件を議論する、という2つの提案を行っています。
先にご紹介したとおり、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権での初代法務部長官に指名された韓東勳(ハン・ドンフン)さんは、あと15日で終わる文在寅政権と遺恨のある人物。
法務部長官に正式になれば、文政権の捜査を執拗に行うことは火を見るより明らかです。
そのため、尹錫悦(ユン・ソギョル)次期大統領の韓さん指名には、『共に民主党』から「報復人事だ」と強い反発が出ており、国会における聴聞会が拒否される機運が高まっているのです。
『国民の力』李代表のちゃぶ台返し発言はこの反発を逆手に取った挑発ともいえます。
本日、実際にどのような動きが出るのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)