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米のビッグステップに苦しむ韓国!資金流出、為替レート・物価上昇圧力

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2022年05月03~04日のアメリカ合衆国『FOMC』(Federal Open Market Committeeの略:連邦公開市場委員会)が通過。落ち着きを取り戻したか、と思われたのは1日だけで、ドルウォンレートではウォン安が急伸。

オーバーシュート分の調整どころではなくなり、風雲急を告げる事態となっています。

ビッグステップが2回連続で来る?

あるかもと思われた「0.75%」(=75bp)の金利上昇はなかったわけですが、「ビッグステップ」と呼ばれる「0.5%」(=50bp)の上昇は予定どおり行われ、合衆国の政策金利は「1.0%」(0.75~1.00%)になりました。

この0.5%の上昇は、2000年05月以来のこと。

合衆国の金利上昇はこれで終わったわけではありません。合衆国消費者物価指数(2022年03月のCPI)は8.5%の上昇。これは1981年04月以降で最大値です。

合衆国としてはこのインフレ退治が焦眉の急で、そのためビッグステップはこれからも連続するという見通しが濃厚です。つまり、06月07月の『FOMC』で0.5%の上昇が連続するのではないか、と見られます。

あと2回のビッグステップがあると、合衆国の政策金利は「2.0%」に達します。

韓国は追随できるか?

さて、韓国

04月14日に『韓国銀行』が規準金利を0.25%(=25bp)を上げましたので、現在は「1.50%」。

現在のところ「合衆国1.0% vs 韓国1.5%」です。

何度もご紹介しているとおり、韓国としては合衆国に金利で追い越されるわけにはいきません。合衆国へと資金流出が起こるからです。

資金流出では、ウォン売りドル買いが発生しますので、ウォン安が進行します。ウォン安が進むということはウォン換算の輸入金額が上昇するということで、つまり物価高を進行させます。

資金流出を防ぎたいのであれば、政策金利を上げる合衆国に韓国も追随しなければなりません。

問題は、『FOMC』が06月、07月とビッグステップを続けた場合、韓国は0.5%の上げを連続で行えるかです。

韓国では異常な速度で増加した家計負債が時限爆弾のように待機しています。金利が急騰した場合、これが破裂するのではないのかという懸念が生じます。

規準金利を急速に上げることは、景気に暗雲が漂っているのに、企業の資金調達コストを急騰させることになります。

読者の皆さまもご存じのとおり、韓国では営業利益で借金の元利払いもできないゾンビ企業が急増しています。『韓国銀行』のデータによれば、2020年段階で韓国のゾンビ企業は40.9%に達します。

⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「2020年の年間企業経営分析」

金利の急騰はこれらのゾンビ企業を連鎖的に吹き飛ばす可能性もあります。

さらに国債発行の利払い額を増やす効果もあります。韓国政府は国債を発行しにくくなるでしょう。

資金流出はすぐには起こらない?

かといって、規準金利を上げなければ、尋常ではないインフレを放置し、資金流出に直面するでしょう。というわけで、韓国は大変なわけですが、『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)新総裁は次のように述べています。

「合衆国の金利引き上げ速度が速いと見られ、両国間の金利格差が減少したり、逆転したりする可能性は当然ある

「金利が逆転すれば資本流出が激しくなるという心配が多いが、経済全体のファンダメンタルズの変化などさまざまな変数があり、すぐに起こるとは見ない

金利差が逆転しても資金流出はスグには起こらない――という見方を示していますが、果たして本当でしょうか。要注目です。

0.75%の上昇は「ジャイアントステップ」と呼ばれます。

(吉田ハンチング@dcp)

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