韓国レゴランドのABCP(Asset-Backed Commercial Paper:資産担保コマーシャルペーパー)が不渡りを出したことをきっかけに、韓国の短期資金調達市場が非常にタイトになりました。
金利が急騰し、借り換えもママならない企業も出るなど、資金調達に困難が生じています。
韓国政府は、債券市場安定ファンドの再稼働を行うなど、流動性を供給して資金枯渇を防ぐのに乗り出しました。
しかし、この債券市場安定ファンドのレギュレーションが厳しいので、信用格付けが良好な企業でも社債・CPを買い入れてもらえないという――おっかしな状況となっています。
このままでは、債券市場安定ファンドは前文在寅政権時代と同様に「やっぱりなんの役にも立たなかった」となるかもしれません。
で、国内の短期資金調達市場が麻痺状態となっているので、当然の動きが出ています。
海外で資金調達しよう!です。
標的はもちろん利率の安い日本です。
以下に韓国メディア『聯合ニュース』の記事から一部を引用します。
(前略)
30日の金融圏によると、金融委員会は最近、金融監督院、金融会社と資金市場の安定のための議論をしたが、この場で国内金融会社の海外債権の発行が必要だという意見が提起された。金融当局の関係者は「現在の状況では国内金融会社が可能であれば海外で債券を発行するのが良い」とし「市場安定効果もあり、金融会社と議論する際に自律的に海外に出て調達することも必要だという議論があった」と述べた。
『現代キャピタル』は26日、日本で200億円(ハンファ1,930億ウォン)規模のサムライボンド(円建て債権)を0~1%台の金利で発行した。
『現代キャピタル』は最近、国内外債券市場の調達金利が急激に上がる状況の中でも超低金利を維持する日本市場に注目して現地発行に成功したのだ。
(中略)
金融当局は、国内で会社債と企業手形(CP)発行が思わしくない場合、『現代キャピタル』のようにカード会社やキャピタル社など金融会社が積極的に海外債券発行に乗り出すのも代替案の一つと見ている。
(後略)
『現代キャピタル』は金利0-1%で200億ウォン規模のサムライボンドの発行に成功したとのことで、金融当局もこれが一つの方法と述べたと書いています。
サムライボンドというのは、海外の発行体が日本で円建てで発行する債券です。
日本はアメリカ合衆国との金利チキンレースに参加せず、低金利ですから、韓国内の「4%超」などという金利に比べたら天国です。
日本で資金調達してやろうというわけですが……これこそが「かつて来た道」の始まりなのです。
サムライボンドで資金調達は「現時点では」うまい手かもしれませんが、今度円が高くなる状況になるとどうなるでしょうか。
返済するのは日本円ですから、反転して円高が進行すると償還時に余計に資金がいることになります。
具体的にいえば、2008~2009年の韓国通貨危機のときはまさにこれで、巨額の対外債務を抱えた挙げ句、円キャリートレードの巻き戻しによる外貨不足に陥り、韓国はドボン騒動を起こしたのです。
いい手だとばかりに日本でサムライボンドの巨額発行になると対外債務が膨らんで……「おい、償還できるんだろうな」という懸念が高まるのです。
もう何度だっていいますが、韓国が経常収支が赤転した挙げ句に対外債務を膨らませ始めると危ないのです。
韓国内市場で資金が調達できなくなってきた韓国企業の動向にご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)