韓国ではお金が回らなくなりつつあります。
そもそも韓国の金融当局が基準金利を上げて流動性を絞っているのが原因なわけですが、『韓国レゴランド』のABCP(Asset-Backed Commercial Paper:資産担保コマーシャルペーパー)不渡り、『興国生命』の永久債コールスキップ宣言がまさに痛恨の一撃となり、資金調達市場を凍りつかせたのが原因です。
一方でMoney1でもご紹介しているとおり、預金金利も上昇し第1金融圏に属する市中銀行のみならず、第2金融圏の『貯蓄銀行』を巻き込んで金利上げ競争が行われています。
預金金利が上昇しているので、韓国の皆さんは銀行預金を増やす方向で動いています。銀行圏が資金調達合戦となっており、融資金利が高いので借り手が減ると――流動性が細ることになります。第1金融圏よりも第2金融圏の方が不利で、さらには銀行が資金集めに走ると保険会社など他の金融機関にお金が回らなくなるという弊害が出ます。
企業が資金調達で困っているときに流動性を減らしてどうするんだ、というわけで、とうとう金融当局が……。
以下に『Money Today』の記事から一部を以下に引用します。
金融当局の高位関係者は15日、「銀行が預金・預金金利を過度が上がるなど、資金調達競争に乗り出しており、保険会社や貯蓄銀行が流動性確保に困難を経験し、債券市場にも悪影響を与えている」とし「過度の預金誘致競争を控える必要がある」と話した。
これに先立って、金周顕(キム・ジュヒョン)金融委員長は去る09日、20の銀行頭取らとの懇談会で「銀行に資金が集まって第2金融圏などで流動性不足を招く恐れがある」とし「基準金利引き上げで市場金利が上昇することは避けられないが、銀行が金利上昇への対応過程で経済への負担を減らす案を考えてほしい」と話した。
過度の例・積金金利引き上げ自制を迂回的に要請したのだ。
(後略)
韓国の金融委員長が銀行に対して「金利を上げて資金を集めるんじゃない」と説教したのです。
無理難題なお話です。
そもそも基準金利が上昇しているので、融資金利・預金金利が上昇するのは当然です。
しかし、金周顕(キム・ジュヒョン)が銀行に無理な話を持ちかけるのは当然かもしれません。債券市場への影響から「銀行債の発行を遠慮してくれ」といわれているので、銀行からすれば、預金金利を上げて資金調達を行わないと仕方がない面もあるのです。
資金がないと企業への融資もできません。
だんだん八方塞がりになってきました。足らない実弾を金融当局が用意しないとならない局面がきているのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)