合衆国、中国を「為替操作国」に認定 今さら?ですが露骨なやり口

08月05日、アメリカ合衆国はついに中国を「為替操作国」と認定しました。しかし、これは「今さら?」というもの。なぜなら中国は自身で「為替レートは適切な幅で運用する」と述べている「完全な為替操作国」だからです。

中国の通貨「人民元」(正確には「人民幣」)は、合衆国の通貨「ドル」の流入によって発行されるというヘンな通貨です。また、ドル元の為替レートを自分たちで操作しており、これまでは通貨安に進んでも「1ドル=7.0元」を超えないように管理してきました。

上掲は2019年08月06日(火)途中までのドル元の日足チャートです(チャートは『Investing.com』より引用:以下同:日足ですのでローソク足1本が1日の価格変動を示します)

以下のようにトランドライン(水色の線です)を引いてみると、08月02日(金)までは絶対に「1ドル=7.0ドル」を絶対超えないように管理されており、08月05日(月)以降はそれをきっぱりやめて「1ドル=7.0元以上の元安でも別にかまわない」という管理体制になったことが分かります。

週が明けたらがらっと変わるというのも露骨ですが……今さらではありますが、これが為替操作でなくてなんでしょうか。


このドル元チャートはオンショア(CNY)のチャートです。
中国の通貨「元」にはオンショアとオフショアがあります。違いについては以下の記事を参照してください。

⇒参照:『Money1』「『人民元』の取引には『オンショア』『オフショア』の2種類がある!」
https://money1.jp/?p=4834

ちなみにオフショア人民元(CNH)のチャートは以下のようになります。08月05日(月)から「1ドル=7.0元」を許容しているのは同じですが、オンショア人民元よりも露骨ではありませんね。

「元安」来るべきモノが来ただけ

中国通貨当局がこの「7.0元の壁を諦める」という観測は随分前から出ていました。中国自身が「これからはより柔軟に運用する」といった発言をし、また2018年には「1ドル=7.2元」になった際のオプションが注目されているといったニュースもありました。

中国の為替動向に注目していた人なら当然ともいうべき事態が来たというだけでしょう。ちなみに「1ドル=7.2元」の通貨安になれば、合衆国が中国に賦課した制裁関税の多くを相殺可能という試算もあります。

また、中国が合衆国とお金の移動の自由について同意すると、恐るべき速さで資本逃避(キャピタルフライト)が起こる可能性が高いのです。そのため中国は合衆国との貿易協議でこの点については譲っていません。恐らく絶対に譲らないでしょう。

⇒参照:『Money1』「中国は報復関税を元安でしのげるか? トランプ師匠が『元安不当』と言う理由」
https://money1.jp/?p=4825

⇒参照:『Money1』「元安で追加関税を相殺できるが限度がある」
https://money1.jp/?p=8321

「為替操作国」認定されると制裁確定!

合衆国に為替操作国と認定されると制裁が科せられることが確定です。というのは、トランプ大統領の意向うんぬんではなく、「為替を操作し、通貨安に誘導することで貿易を有利に運んでいる国」に政府が対抗措置を取るのは義務である、と議会で決まっているのです。

制裁の手段としては「関税を賦課」が考えられますが、合衆国はすでに中国からの輸入品目全てに制裁関税を賦課する規模になっています。関税でこれ以上の制裁となると税率を上昇させるしかありません。しかし、金融面での制裁など他の手段を取ることも考えられます。その場合、中国は致命的な一撃を被ることがあり得ます。

(柏ケミカル@dcp)