中国の通貨「元」の取引・決済には「オンショア」と「オフショア」の2種類があることをご存じでしょうか? 経済のニュースなどでも中国の元については、「オフショア元の取引」といった記載を見かけるでしょう。
■人民元の取引・決済は「中国本土」「中国本土外」に分かれた
もともと人民元の取引・決済は中国本土のみで行われることという決まりでした。これが徐々に中国本土外で取引・決済可能に拡大され、中国本土外、主に香港で行われるように緩和されました。この流れの中から、中国本土で行われる人民元の取引・決済を「オンショアの取引」、中国本土外で行われる人民元の取引・決済を「オフショアの取引」として区別するようになりました。
このような区別のきっかけとなったのは、2009年7月に行われたいわゆる「クロスボーダー人民元決済の解禁」です。2010年7月には、『中国人民銀行』『香港金融管理局』が人民元の業務に関する協力の覚え書きを締結しました。これによって香港の銀行で一部「人民元建てサービス」が可能になり、オフショア人民元市場が立ち上がったのです。
■同じ人民元でも取引は区別する 市場は別なので!
取引されているのは同じ人民元で変わりはありませんが、オフショア取引に参加している金融機関は、基本的にオンショア市場にはアクセスできません。また、オンショア市場に関わる金融機関も同様に(基本的には)オフショア市場にアクセス不可となっています。
そのため、オンショア、オフショアの取引はそれぞれ独立したものとなっており、
・CNY取引:オンショアでの人民元の取引
・CNH取引:オフショアでの人民元の取引
というふうに区別します。「CNH」という略称が出てきたら、同じ人民元でも「オフショアでの取引」を意味するのです。
ということは2つの市場でレートは違うの?と思われるかもしれませんが、そのとおりです。オンショアとオフショアでレートは異なっています。以前は2つの市場でレートが大きく乖離していたこともあったのですが、現在ではほぼ差はなくなっています。
(柏ケミカル@dcp)