元安で追加関税を相殺できるが限度がある

ロイターに「中国人民銀行は、目先1ドル=7元を超える元安を容認しない」という記事が掲載されました。Moneyで以前ご紹介したとおり、アメリカ合衆国による追加関税賦課に対して、中国は元安を利用してそのダメージを和らげることができます。

ではなぜ元安を容認しないのでしょうか? それは「元」という通貨の特殊性にあります。

中国の元という通貨は、事実上ドルにペッグしています。変動幅は中国当局によって制御されており、当局の望まない元安・元高に対しては介入を行っています。ですから、元においては他の新興国通貨のような暴落があり得ません(今のところは)。発行の仕組みもヘンで、中国人民銀行は自身の定めたレートで市中銀行からドルを買い上げ、これによって人民元を市中に供給するのです。つまり、元という通貨は外貨、ドルがある程度の水準ないと(入ってこないと)その価値を維持できないのです。

しかし、元の切り下げを行った2015年以降には中国からの外貨の流出(資本逃避)が続いていて、これが元安に大きく引っ張る要因となっています。中国は元安の変動幅を抑えようとしますが、そのためにはドルが必要で、介入を行うほどドルが減少⇒元を裏打ちするドルが減少⇒元の価値が減じたと見られる⇒さらなる資本の逃亡という経路をたどります。

ですから、中国の金融当局は元安をある程度の水準に抑え込む必要があるのです。

(柏ケミカル@dcp)