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日本国債のショートに張ると生きて帰れない(帰れなかった)

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かつて「日本政府は財政を維持できず、日本国債の価格が暴落し、日本円の価値は暴落する」として空売りに挑んだ投資家がいました。

カイル・バスという人で『ヘイマン・キャピタル・マネジメント』の創始者。2010~2011年のことです。

このバスさんは、2008年のリーマンショックで7億ドル稼いだという人で、「次は日本国債がターゲットだ!」というのでファンドに1億ドルを集め(少ないですな)、日本国債の空売りに懸けました。

バスさんは、一緒にショートする人がほしかったのでしょう、日本語メディアも使って「日本はもう駄目だ」としきりに喧伝しました。ショートする投資家が多くなれば、雪崩になって日本政府も耐えきれまいグフフ――だからです。

ところが……逆に返り討ちにあって大やけどしたのです。ステファニー・ケルトン先生の著作から引くと以下のような具合です。

債券投資家のなかには、GDPの200%を優に超える債務残高を抱える日本は破滅しかかっていると見る者もいた。

日本政府はこれほどの債務水準を維持できるはずがないと考え、日本国債のショート(売り)ポジションを取った者もいる。

カイル・バスはこの「ウイドウメーカー」取引と呼ばれる方法によって、莫大な損失を被ったことで知られる。

⇒参照・引用元:『財政赤字の神話 MMT入門』著:ステファニー・ケルトン,ハヤカワ書房,2022年04月15日 発行,原注p.19

「Widow-Maker Trade」(ウイドウメーカー・トレード:後家作りの取り引き)ですから、つまり日本国債のショートは「(やれば)必敗の取り引き」という異名をとっているわけです。

今、日本のイールドカーブ・コントロールがうんぬんという話が出ていますので、過去にこのようなことがあったことをご紹介しました。

(吉田ハンチング@dcp)

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