アメリカ合衆国が領空内に侵入した「中国の偵察気球を撃墜した」ことについて、合衆国と中国の対立が深まっています。
読者の皆さまもご存じのとおり、中国外交部は「合衆国こそスパイ国家であって、中国領空に10回以上も高高度気球を侵入させた」と非難しています。
これをもって「米ソ対立の冷戦のようだ」などというのんきなご意見が出ていますが、「そんなものはとっくに始まっている」のであって、「問題はソ連のときのように中国共産党を瓦解させて終わらせることができるかどうか」です。
ともあれ、中国が主張する「合衆国だってやっている」が本当なのか、それとも中国がその場逃れでついたうそなのか――です。
これは世界中のメディアが確認したいところで、2023年02月14日、中国外交部の定例ブリーフィングで記者からこの点を突っ込まれました。
王文斌報道官は以下のように答えています。
AFP:
昨日、米国の高高度気球が昨年から10回以上、中国関係当局の承認を得ずに中国領空を違法に飛行していたと発言していましたね。 関連する証拠はあるのでしょうか?王文斌:
関連する状況については、すでに紹介しました。この問題について言及されたので、私ももう少し情報を追加したいと思います。
昨年、正確には05月以降、合衆国側は自国の本土で高高度気球を多数放ち、世界一周を続け、中国の関係当局の承認を得ずに、少なくとも十数回、中国の領空および関連国の領空を不法に越境している。
合衆国側はこのことについて徹底的な調査を行い、中国側に説明するべきです。
(後略)
王文斌報道官は、2022年05月以降に合衆国は自国領土内から高高度気球を上げて、十数回、中国の領空内に侵入させた――と語りました。
王文斌報道官が追加してくれた情報の裏が取れるかどうか、本当のことなのかまだ分かりません。
中国がやってるんなら合衆国もやってるんじゃないのか――という疑問を持っても当然ですが、とりあえず合衆国は「うちはやってない」と否定しています。まあ合衆国も平気でうそをつきますから、しばらくは推移を見守らないと仕方がありません。
(吉田ハンチング@dcp)