中国外交畑でまた行方不明? しかも長官クラス2名

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外信が衝撃の報道を行いました。

2025年08月15日、『Reuters(ロイター)』は中国対外連絡部副部長である孫海彦(53歳)さんが逮捕されたという情報を出しました。

先に「拘束された」と報道が出ていた劉建超さん(61歳)に続いて、外交畑の重要人物として2人目です。この劉建超さんは次期外交部部長(長官=外務大臣)の呼び声がある人なので、拘束は異常事態です。


↑2024年05月29日、訪日中の劉建超さんは上川外務大臣(当時)と会談を行っています。


↑孫海彦さん。駐シンガポール大使も務めたことがある人です。女性としては初の党中央対外連絡部副部長。

二人がどんな人物かというと――。

●劉建超
経歴・出身
1964年2月23日、中国・吉林省徳恵市(現・長春市徳恵県)生まれ。北京外語大学(英語専攻)および英国オックスフォード大学で国際関係を学んだエリート外交官です。

外交官としてのキャリア
1987年に外交部に入り、報道官や情報部担当などを歴任。2009年3月〜2012年1月までフィリピン駐在大使、2012年1月〜2014年2月までインドネシア駐在大使を務めました

党内要職への転身
2015年から党の反腐敗機構(中共中央纪律检查委员会:CCDI)国際協力局および国際追逃追赃工作办公室(国際逃亡犯・不正資産追跡回収事務室)を率い、海外での「狐狩り(Fox Hunt)」や「天網(Sky Net)」作戦を担うなど、国際的な捜査・連携を主導しました。

中共中央対外連絡部(国際部)長としての活躍
2022年6月2日から、党中央対外連絡部の長官に就任し、党中央委員にも選出。以前の閣僚より積極的に海外に出向き、20以上の国を訪問、160以上の国々の関係者と交流するなど、実践的な外交を展開してきました。

報道から見る「拘束経緯」
2025年07月下旬の外遊から帰国後、08月初旬に当局に連行され、自宅も捜索されました。党内での次期外務大臣の有力候補と見られていただけに、その突然の「失踪」は2023年の秦剛解任以来、最大級の「外交部門トップの失脚」とされています。

すぐにお分かりいただけるでしょうが、ずいぶんきな臭いキャリアの人です。

劉さんは2015〜2018年、CCDI国際協力局局長および国際追逃追赃工作事務室主任を兼任していますが、この時期、狐狩り・天網は史上最大規模で展開され、2017年には「海外からの送還者数1,300人超」と発表されました。

外交官出身の人脈を活かし、各国政府との裏ルートや非公式交渉を指揮したとされます。

西側諸国では「国家による越境追跡・脅迫活動」の疑いで問題視され、劉さんの名前は複数の人権報告書に登場しているのです。

「猎狐行动:Fox Hunt」や「天网行动:Sky Net」については、面倒くさいほど長くなりますので別記事にします。

●孫海燕
経歴・出身
1972年04月、河北省河間出身。1990年に中国共産党に入党、北京大学法学院および日本の九州大学法学院で法学博士号を取得。1997年より党中央対外連絡部で勤務を開始しました。

外務・連絡部門での長いキャリア
研究室副主任、当代世界研究センター主任、情報伝播局長(報道担当)などを歴任し、2018年08月には当部門の幹部「一局局長」に抜擢された実績があります。

駐シンガポール大使
2022年05月から2023年7月まで中国駐シンガポール大使を務め、離任時には500人規模の盛大な送別会が開催されました。

副部長としての現在の立場
2023年7月の帰国後、直ちに党中央対外連絡部副部長に就任。女性としては初の副部長ポストでした。

拘束報道について
2025年8月初めに劉建超と同時期に拘束されたと複数報道が伝えていますが、一方で現地報道(聯合早報など)は「現在も通常通り勤務している」と伝え、拘束説に疑問を呈しています。


↑美人キャスターと不倫関係になって、それが発覚し行方不明になったとされる秦剛さん。この時間で王毅さんの再登板になりました。

外交畑では、Money1でもご紹介したとおり、外交部の部長に就任したはずの秦剛さんが、いつの間にか行方不明となり、おなじみの王毅さんが現在外交部部長を務めています。

今回の『Reuters(ロイター)』の報道が正しいのだとすれば、中国外交部は重鎮クラスがまた行方不明――となりました。

(吉田ハンチング@dcp)

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