「途上国がデフォルト騒動に陥る仕組み」

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輸出が伸びず、貿易赤字が続いている韓国ですが、政府自身が「複合危機」と認めています。

途上国がなぜデフォルト騒動に陥るのかについて、ステファニー・ケルトン先生が非常に分かりやすく説明していらっしゃるので引用してご紹介します。

(前略)
発展途上の国々には先進的な産業も、厚みのある資本市場も存在しないので、予想のできないさまざまな外部リスクに対して脆弱になる。

たとえばドルをのどから手が出るほど欲しがっている国に、欧米の投機家がどっと押し寄せてくることがある。

猛烈な勢いで投資をし、その国の通貨を押し上げた後、突然怖気づいて資金を回収する。

結局、その国の通貨は暴落する。

あるいは、ある国の主要な輸出品への国際的な需要が急減し、輸入品の支払いをするために外貨を必死でかき集めなければならなくなる。

(中略)

このような外的事象が発生すると、理屈の上では持続可能な経済政策を営んでいた国々でさえ財政難に陥り、外貨建ての債務の再交渉を余儀なくされたり、IMFのような貸し手に支援を求めたり、あるいはなすすべもなくデフォルトに陥ったりする。

多くの途上国が貿易赤字であったり、あるいはドル(その他の外貨)建て債務を背負っていたりするため、輸入品の代金や外貨建て債務の返済に充てられる外貨を稼ぐ(あるいは手ごろな金利で借り入れをする)能力が何らかの理由で毀損されると、深刻なトラブルに陥る。

アメリカ、イギリス、オーストラリアなど強い通貨主権を持つ国にはそうしたリスクはない。
(後略)

⇒参照・引用元:『財政赤字の神話 MMT入門』著:ステファニー・ケルトン,ハヤカワ書房,2022年04月15日 発行,pp.242-243

外貨準備というのは、稼いだ外貨が積み上がったものです。これが十分にあることは、要するに外国に対する支払い能力が高いことを示しています。

輸入品への支払いを滞りなく行うためには外貨がないといけません。

ところが、石油価格の暴落などがあると、石油を輸出している国は大打撃を受けます。

輸出による外貨の流入量が極端に減り、併せて外貨準備高が少ないという状況では、「輸入品の代金が支払えません」「外貨建て借金の返済ができません」――という事態に陥ります。

仕方がないので『IMF』に支援を求めたり、「日本は通貨スワップを締結してドルを供給しろ」と言い出したりすることになります。

これがデフォルト騒動です。

実際に、アメリカ合衆国で「シェールガス革命だ!」となって原油価格が暴落したときには、ロシア、ベネズラエラが大打撃を受け、ベネズエラなどいまだにひどい状況のママです。

翻って韓国。

ケルトン先生のいう「ある国の主要な輸出品への国際的な需要が急減し……」が、「半導体の輸出減少」「対中国輸出が減少」といった状況にあてはまり、貿易赤字が継続しています。

先にご紹介したとおり、経常収支も減少し、赤字が目立つようになってきました。

「半導体需要が回復すれば……」という希望もありますし、外貨準備高も「4,253億ドルあるはずですので(2023年02月時点)、そう簡単にデフォルトするとは考えにくいです。

しかし、「韓国に厚みのある資本市場がある」とは、いまだにいえないのも確かです。

先行きには要注目です。

(吉田ハンチング@dcp)

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