2023年03月15日、韓国の『現代製鉄』が北京法人を売却することが明らかになりました。
同社は2002年に、中国に進出して北京法人(『Hyundai Steel Beijing Process Co』)をつくりました。
中国に進出した韓国『現代自動車』『起亜自動車』の北京工場に鋼板を供給するためです。
同社北京法人は、2016年までは毎年100~200億ウォン台の営業利益を出していたのですが、読者の皆さまもご存じのとおり、中国市場で韓国企業の製造する自動車が急速に売れなくなりました。
韓国企業の自動車はもはや中国市場では回復の見込みがないほどシェアがやせ細っています。
上掲は『現代自動車』の中国市場におけるシェアですが、上掲のとおり2022年(第3四半期)には1.2%まで落ちました。
Money1でも何度もご紹介しているとおり、中国市場において韓国メーカーの自動車は、スマホと同じ運命をたどっています。
自動車が売れなくなったということは、当然その材料となる鋼板もいりません。これによって『現代製鉄』北京法人の売上も急落。
2017~2021年は5年連続の赤字で、累計の純損失は「1,058億ウォン」まで積み上がったのです。
事は北京法人だけではないのです。天津法人も大赤字に陥っており、2017~2022年で累計の純損失は「1,146億ウォン」となっています。
合計すれば、純損失「2,204億ウォン」です。
天津法人が「2017~2022年」で、北京法人が「2017~2021年」かというと、北京法人は2021年に「当期純利益:-498億ウォン」と最大の損失を出して操業停止に陥ったからです。
で、北京法人は現在売却先を探し、資産のデューデリジェンス状況です。
『現代製鉄』は天津法人を残し、事業を継続する模様ですが、そんなことをやっている場合ではありません。
というのは、同社は2022年末時点で「負債比率:1,549.2%」という借金まみれの状態に陥っているのです。
負債比率は、負債を自己資本で割ったものですから、同社は負債が自己資本の約15.5倍もあるのです。
また、この負債比率は、前年末比で1,035.7%上昇しました。
中国で事業を維持する意味があるのか――と考えざるを得ません。
確かに、同社が撤退すれば『現代自動車』や『起亜自動車』が鋼板の提供元を探すことになるかもしれません。
しかしながら、上掲のとおり『現代自動車』も、もはや中国市場では風前の灯火です。
そもそも、中国鉄鋼業もさまざまな鋼板を製造できるようになっており、韓国企業でも圧倒できたという時代は終わりました。Money1でもかつてご紹介したことがありますが、中国産の安い鋼板が韓国に輸入され、韓国鉄鋼メーカーのシェアを蚕食しているのですから。
行き詰まりの八方塞がりです。
(吉田ハンチング@dcp)