『韓国銀行』総裁「ファンダメンタルズで説明できない水準までウォンが売られた」

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『韓国銀行』が、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁と『ゴールドマン・サックス』の首席エコノミストであるJan Hatzius(ヤン・ハチウス)さんとの対談動画をYouTube上に公開しました(下掲)。

この対談の中で李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は非常に興味深いことを述べています。

一時「1ドル=1,480ウォン」に到達したドルウォンのレートが「1ドル=1,430ウォン」台まで下がったことについて、

「現在、為替レートが1,430ウォン台の水準だが、少し安堵している(that makes me a little bit more comfortable)」

「ようやくファンダメンタルズとの乖離が縮まった」

――と述べています。収録時は2026年01月28日でしたので、この発言をされたのでしょうが、01月31日の終値は「1ドル=1,450ウォン」までウォン安方向に戻したのです。


↑2026年01月30日(金)終値時点でのドルウォンチャート(チャートは『Investing.com』より引用:日足)

李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「中央銀行総裁として為替水準について語ることは気が引ける」としながらも、1480ウォン台までいったドルウォンのレートについて「歴史的に高い経常収支黒字を考慮すると、正当化しがたい」と述べました。

これにはちょっと説明がいります。

経常収支が大きな黒字ということは、外貨(ドルなど)を恒常的に稼いでいる状態ですから、理論上は自国通貨高(ウォン高)圧力です。ところが、実際にはウォン安が急進しました。

いわば「歪んだ状態」で、「歴史的に高い経常収支黒字を考慮すると、正当化しがたい」という評価につながります。早い話が「ファンダメンタルズで説明できない水準までウォンが売られた」というわけです。

面白いのは「昨年11月以降、ウォンの価値が、私が合理的だと考えていた水準よりもはるかに大きく切り下げられ始めた点が不思議だった」と心境を明らかにした点です。

「当時、輸出企業は多くのドルを稼いでいたが、為替レートがさらに上昇するとの期待から、ドルを市場に出さず保有していた状況だった」と説明しています。つまり、稼いだドルをウォンに換えれば、ドル売り ⇒ ウォン買いですから、この動きが強くなれば「ウォン安に拮抗する動き」となるはずです。

ところが、輸出企業はドルのままで保有するという動きに出ました。要するに、ウォン安がさらに進行すると見たわけです(ウォン安が進行してからウォンに換えた方が増えるから)。

また「グローバル要因が主導したが、国内要因も重要だった」と指摘。

これは、Money1でもご紹介したとおり、韓国から外国への継続的な海外投資を指しています(特に『国民年金公団』)。ウォン売り ⇒ ドル買い ⇒ 海外への投資というルートを通りますので、これがウォン安を進行させた主要因としたわけです。

「国民年金の海外投資規模が、外国為替市場の規模に比べて大きかった。ウォン安期待が持続的に形成され、それが個人投資家が再び海外投資を好む流れにつながった」――と指摘しています。

李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「現在0%水準である国民年金の為替ヘッジ目標比率を引き上げる必要がある」と述べました。

これにも説明がいるでしょう。

「為替ヘッジ目標比率」というのは、外貨建て資産について、為替変動リスクをどの程度ヘッジするかを、あらかじめ決めた比率のことです。

例えば「100万ドル」外貨建て資産があったとすると、ヘッジ比率0%なら為替リスクを一切ヘッジしないということで、つまりウォン安なら儲かるが、ウォン高なら損をするということです。

ヘッジ比率50%なら、半分の50万ドル分は先物・スワップなどでヘッジする――ことになります。

李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は指摘しているのは、早い話が「ヘッジ比率0%って……なんだこりゃ」ということです。

先にご紹介しましたが、『韓国銀行』は「国民年金ニューフレームワーク」なるものを韓国政府および保健福祉部にすでに渡しています。

「韓国のデリバティブ市場の規模を考慮すれば、中央銀行(『韓国銀行』)との為替スワップだけに依存するのには限界がある。多様なドル調達源を確保しなければならない」と強調。

さらに「ドル建て債券を発行すれば、資産負債管理(ALM)の観点から自然なヘッジ手段になり得る」とも。しかし、この『国民年金公団』がドル建て債券を発行するというのは、いかがなものでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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