世界を巻き込んでアメリカ合衆国・中国の半導体戦争が激しくなっています。
韓国の『サムスン電子』は、合衆国・テネシー州テイラーで半導体工場の建設を進めているのですが、そのコストが80億ドルも膨らむという報道が出ています。
⇒参照:『Rueters』「Exclusive-Samsung’s new Texas chip plant cost rises above $25 billion -sources」
そもそも、この工場は170億ドルかけて造成するという話でした。それが250億ドルになるというのです。
なぜ、こんなことになるのかというと、原因は合衆国のインフレです。
かさむ80億ドルのうち、建設費の増加が80%を占める、特に材料費の高騰が効いているとのこと。
これは、『サムスン電子』だけではなく、『Intel(インテル)』など合衆国に半導体工場を新設する企業にとっては頭の痛い問題です。
さらに、合衆国政府にとっても、いわゆるCHIPS法によって「補助金を出すよー」としたものの、コスト増によってどこまで資金が有効に使われるのかという問題になります。同じ520億ドルでも、建設コストが増加すれば、できる工場はより少なくなってしまいますので。
『サムスン電子』はすでに当初予定した170億ドルのうちの半分ほどは投下したと見られています。
また、2024年、つまり来年までには工場を完成させて2025年からは生産開始という突貫工事で臨んでいます。これは、投資税額控除が受けられる期限が2026年のためです。
コストがかさむようになった『サムスン電子』の工場建設ですが、これを見ると、ますます「韓国内にファウンドリーを5つ造って総額300兆ウォンの投資」というのは本当なのか――と疑問が湧きます。
ともあれ、『サムスン電子』の中国工場はもはや逃げられない状況ですので、合衆国工場の建設を急ぐ他ありません。
(吉田ハンチング@dcp)