2023年05月25日、韓国の金融通貨委員会が基準金利を据え置くことを発表しました。この記者会見の場において、『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁がきっぱりと言ってのけましたので本件をご紹介します。
「長期的に低成長局面が続く可能性についてどう考えますか?」と記者から質問された李総裁は、「韓国はすでに長期低成長構造に入っていると思う」と述べました。
経済学者や識者の皆さんが指摘していたことをきちんと正面から言いました。こういう本当のことを真正面から言える人は貴重です。その上で「どうするか」を考え、最善手を打つことが重要です。
まあ例によって「はは、オレ馬鹿嫌い」みたいな言いようでしたけれども。
また、李総裁は韓国の経済についての取り組みについて苦言を呈することも忘れませんでした。
以下に発言を拾ってみます。
「韓国は少子高齢化が深刻だ。5年、10年以内に老後貧困問題が大きな社会問題になるだろう。この大きなトレンドを脱するためには早く対応しなければならない」
「私たちの問題は、どのように解決するかを知らないのではなく、利害関係者間の妥協が難しくて進まないことだ。特に、恩恵を受ける受給者ではなく、供給者中心で全ての議論が行われている」
「私たちは高校3年生の時に生涯専攻を決めるが、これは意味がない。大学に行って複数の(専攻を)見て決めなければならないのに、各学科の定員を全て供給者が決め、利害関係者が合意に至らないため、一つも動かない」
「年金改革はとても重要だが、フランスは社会的に大きな葛藤があるが、それでもスタートを切った」
「少子化、高齢者介護などを考えると、移民や海外労働者をどう活用するか、賃金制度はどうするかなどの議論が必要だが、そのような議論も進んでいない」
「韓国の半導体輸出ができないというが、実はサービス業で輸出するものが非常に多い。(韓国では)医療産業の国際化が一歩も進まない間に、タイとシンガポールはすでに地域の医療ハブになっている」
「このような構造的に難しいことを解決できないから、結局は財政でお金を出して解決しろ、金利を下げて解決しろなど、金融政策と財政政策で負担がかかる。(しかし)絶対にそうしてはならない」
「財政・金融政策は短期的に経済を安定させるもので、韓国経済が良くなるためには社会的妥協の解決を通じた構造改革が最も重要だ」
文在寅前大統領はろくでもないことしかしませんでしたし、その政策もアンポンタンなものばかりでした。しかし、『韓国銀行』の総裁に李昌鏞(イ・チャンヨン)さんを据えたことだけは評価できます(よく引き受けてくれたものですが)。
Money1でも何度もご紹介しているとおり、韓国の夏はもう終わったのです。少なくとも終わったと考えて「冬」に備えないといけないのです。
右肩下がりの勾配をいかに緩やかにするのか、が問われています。
(吉田ハンチング@dcp)