2023年09月07日、韓国の企画財政部は韓国史上初の円建ての外国為替平衡基金債権(略称「外平債)の発行しました。
外平債は、為替介入資金を調達するために発行される債券で、調達した資金は「外国為替平衡基金」に組み入れられます。
為替介入のための資金を調達するための債券というのは、そもそもおかしな話なのですが、韓国では朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の時代に初めて発行され、現在に至っています。現在では、国債に組み入れられていますが、国債の中での外平債は別途に発行残高が報告されます。
以下は企画財政部が出したプレスリリースです。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください/スクリーンショット⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「今年度外貨建て外平債発行開始」
ご注目いただきたいのは、今回発行の諸元です。
3年物 | 5年物 | 7年物 | 10年物 | |
発行規模 | 330億円 | 235億円 | 70億円 | 65億円 |
満期日 | 2026/9/14 | 2028/9/14 | 2030/9/13 | 2033/9/14 |
加算金利 | 23bp | 33bp | 43bp | 48bp |
発行金利 | 0.475 | 0.750 | 1.032 | 1.312 |
日本円建てで発行するのは、日本の金利が安くて、利払いが少なくて済むからです。
スプレッドも小さいですが、発行金利が最大の10年物でもわずか「1.312%」しかありません。
このような低利で調達できるというのは、韓国政府にとっては大きなメリットです。
ただし、これが円高に振れたときには利払いの金額は増加します。
忘れてはいけないのは、2008~2009年の韓国通貨危機時、世界規模で円キャリートレードの巻き戻しが起こったとき、韓国は外貨不足に陥ってドボン騒動を起こしたことです。
金利が安い日本で資金調達するのはよいのですが、それを返済するときに大丈夫なのか、です。
また、同プレスリリースによれば、韓国当局は「ドル建て、27億ドル規模の外平債の発行も考えている」とのこと。このドル建て外平債は、円建てのように低利では発行できません。
アメリカ合衆国の金利が高いからです。
(柏ケミカル@dcp)