2023年09月15日、中国の国家統計局は「8月份国民经济恢复向好(8月には国家経済が回復し、改善した)」というプレスリリースを出しました。
注目すべき数字があります。中国への直接投資(FDI)の金額が01~08月で「8,471億7,000万元」となり、対前年同期比で5.1%減少しました。
中国の商務部、外交部は躍起になって「今が中国に投資するチャンス」などというプロパガンダを行っていますが、それは中国にお金がないからで、また現実に中国への投資が減っているためです。
「中国に投資しない」という動きが明らかになっているのです。
さっそく、中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』は、本件の火消し用の記事を出しました。以下に記事の一部を引用します。
(前略)
中国商務部(MOFCOM)は、中国が今年1~8月の対外直接投資(FDI)が減少したことを受け、対外直接投資(FDI)データの変動は市場行動の正常な一部であると述べた。同部によると、世界経済の回復の遅れと高いベース効果がこの落ち込みの背景にあるという。
(中略)
商務部は、引き続き市場アクセスを緩和し、ビジネス環境をさらに最適化し、直接投資の量と質をさらに高めていくと述べた。
月には、外資誘致を促進するために合計24の措置が発表された。
01~08月の対外直接投資が減少した主な理由は、世界経済の回復の遅れと、2022年の対外直接投資が過去最高の1.2兆元に達したことによる高いベース効果である。
(中略)
商務部は、外国投資を誘致する政策を実施し、外国企業との交流ルートをさらに深め、ビジネス環境を改善すると述べた。
⇒参照・引用元:『Global Times』「FDI fluctuations part of normal market behavior: MOFCOM」
商務部の言葉を引いて、中国へのFDIが減少したのは「2022年に直接投資額が増加したことの反動であり、また世界経済の回復が遅延したことを反映したものである」と述べています。で、あればいいのですが。
商務部は強弁していますが、『Bloomberg』は外国人投資家が中国から撤収しているという記事を出しています。
『Bloomberg』によれば、2021年末と比較して2023年06月末時点で、中国株式・債券市場では外国人投資金が約1兆3,700億元(約1,880億ドル)減ったと集計しています。
『Bloomberg』の同記事には『BNPパリバ』のアジア・新興国株式部門代表が「中国不動産市場や内需萎縮などに対する懸念で外国人投資家が中国投資の割合を再考している」「投資家がタオルを投げている」と声を寄せています。
ちなみに『Global Times』記事内にある「24の政策」というのは、Money1でも以下の記事でご紹介した国務院が発表した24条のことです。
「中国にお金を入れてくれ」という表明で、「外国企業の知的財産権を保護する」などの24条ですが、中国共産党の定めるルールなど信用はできません。
中国にお金をやってはなりません。
(吉田ハンチング@dcp)