韓国の『韓国土地住宅公社』(略称「LH」)の「鉄筋ヌケ」マンションの件です。
地下駐車場が勝手に崩壊したことに端を発し、調べてみたら無梁版構造で建設されたマンションのせん断補強筋が抜けていることが発覚。これが大問題になりました。
↑2023年04月28日に起こった「地下駐車場の崩壊」。突然駐車場が崩れたので調べてみたところ、このマンションの柱には規定どおりの鉄筋が入っていませんでした
Money1でもご紹介してきましたが、国土交通部が調査に乗り出したのですが、全部の柱で鉄筋ヌケだったマンションが見つかるなどひどい結果で、その上、報告も「これぐらいはいいだろ」とずさんだったことも発覚。
今回さらに面白いことが分かりました。
とにかく「すでに買って住んでいる人もいる」わけですから、特に住民は「うちは大丈夫なんだろな」とカンカンで、国土交通部また『LH』は調査を続けてきました。
以下は、国土交通部が2023年10月23日に出したプレスリリースです(面倒くさい場合は飛ばしていただいても大丈夫です)。
国土交通部長官の元喜龍(ウォン・ヒリョン)は、国民の安全確保のための大統領指示(08月01日)に基づき、08月03日から2カ月間実施した全国の民間無梁版マンションに対する全数調査の結果を発表する。
ㅇ今回の全数調査は、信頼性を高めるため、調査機関と共に該当自治体および『国土安全管理院』が調査に立ち会い、調査完了後、国土安全管理院の結果に対する検証手続きも行った。
-特に、竣工されたアパート現場は、希望する場合、入居者が直接立会った中で透明かつ徹底的に調査を行った(竣工288件のうち121件)。
今回の無梁版アパート全数調査は、自治体から提出された合計427現場(工事中139個、竣工288個)を対象に実施した。
ㅇまず、設計図書の適正性を確認するため、せん断補強設計の適正性およびせん断補強筋に対する構造計算書と構造図面の一致、有無などを検討した。
-施工中、現場1カ所で設計図書にせん断補強筋の欠落が発見されたが、 着工前に直ちに先制的に設計補完措置した。竣工されたマンション現場ではせん断補強筋の欠落などは発見されなかった。
ㅇ現場点検では、非破壊方式でせん断補強筋の配筋状態及びコンクリートの圧縮強度などを測定し、追加の補修補強が必要かどうかなどを確認した。
-施工および竣工現場ともに鉄筋の欠落が発見されず、コンクリート強度も適正であり、補修補強が必要な不良施工などはないことが分かった。
2カ所の現場では世帯内調査が必要であったが、入居者の反対で未実施、ただし最上階※、一部の世帯の天井にのみせん断補強筋が必要な構造で、全体的な構造安全性に問題なし。
その他、住商複合オフィスビルなど施工中の非マンション無梁版建築物は 自治体主管で無梁版マンションと同じレベルで調査している。全57カ所の施工現場のうち47カ所の調査が完了した。
ㅇこのうち、1現場でコンクリート打設前のせん断補強筋の設置不足事項*が発見されたが、直ちに補完措置し、安全上の問題はないことを確認した。
※最上階18本の柱のうち1本の柱に入るせん断補強筋6本のうち2本が欠落 → 再設置完了
元喜龍(ウォン・ヒリョン)国土交通部長官は、今後、国民が集合住宅に「安全に居住できるように建設現場の安全強化のための根本的な方策を準備しており、早急に発表する予定である」と明らかにした。
――で、全数調査の結果明らかになったのは、「全国22の『LH』マンション団地で鉄筋の欠落があった」という事実です。
※『LH』の公表によると、安全診断対象に含まれていなかった自社施行団地11カ所と民間参加事業団地19カ所に対して追加緊急安全診断を行った結果、2ヵ所で鉄筋の欠落が確認され、補強工事を行うとしています。
ところが、国土交通部が調査した民間の無梁版マンションの調査では、不良施工の事例は見つかっていません。
『LH』が発注したマンションでは施工不良が見つかったのに、同じ無梁版構造の民間マンションでは施工不良が発見されなかったのです。
つまり、韓国政府の傘下にある『LH』(公社です!)の管理監督がいかにいい加減だったのかを示すと同時に、公金が食い物にされていたことが鮮明になりました。
公社の発注した住宅で「鉄筋をヌイていた」のですから。
上品な言葉ではありませんが「公金チューチュー」な案件とも見られるわけです。韓国らしい話ではありますが、公社を信じてマンションを購入した皆さんは大変にお気の毒です。
(吉田ハンチング@dcp)