電気自動車の先行き不安が世界的に広がりつつあります。
韓国『LGエネルギーソリューション』とアメリカ合衆国『Ford(フォード)』が、現地の『Koç Holding(コチ・ホールディングス)』と組んでトルコに造成しようとしていたバッテリー工場が白紙撤回となりました。
Money1でも先にご紹介しましたが、そもそもこのプロジェクトは『フォード』が『SKオン』と進めていたもの。それを『LGエネルギーソリューション』が奪ったいわくつきのものです。
※『LGエネルギーソリューション』と『SKオン』は、その前身である『LG化学』『SKイノベーション』のころから合衆国を舞台に訴訟合戦を繰り広げた遺恨あるライバル関係です。
しかし、せっかくライバル会社から奪った契約だったものの、2023年11月12日、『LGエネルギーソリューション』は「合弁パートナーだった『コチ』が11日(現地時間)、合弁法人を設立する内容の了解覚書(MOU)を撤回した」と明らかにしました。
また、「『LGエネルギーソリューション』『フォード』『コチ』3社は2023年初めに締結したMOUを相互に解約する」「消費者の電気自動車(EV)転換速度を考慮すると、トルコに建設予定だったバッテリーセル生産施設への投資を継続するのに適切な時期ではないことに相互に同意した」と発表しています。
2026年の完成を目標に、トルコに「年間生産能力25GWhの合弁工場」を建設する予定でした。需要増を見ながら生産能力を45GWhまで増やすことも計画されていたのです。45GWhといえば電気自動車約40万~50万台に搭載できる量です。
『LGエネルギーソリューション』にとっては計画が狂ったことになります。しかも2度目です。
先には、『GM』と一緒に合衆国・テネシー州に建設する予定だったバッテリー工場の稼働計画を延期しています。
当初の計画では、2023年末から稼働する予定だったのですが、電気自動車の需要が予想より伸び悩んだため、稼働を遅らせたのです※。
※ただし、テネシー州の第1工場とケンタッキー州の第1工場は予定どおり2025年に稼働を開始する予定とのこと。
『Bloomberg New Energy Finance』のデータによると、グローバル電気自動車バッテリーの需要増加率は、
2021年:約100%
2022年:約68%
2023年:約45%(直近暫定値)
と明らかに失速しています。
『フォード』は150億ドルで計画していた電気自動車関連投資のうち、120億ドル規模を延期すると明らかにしています。80%の投資を先送りするとしたわけです。
このような電気自動車失速の余波を、世界に誇るK-バッテリー企業も受けることになります。
(吉田ハンチング@dcp)