またやりました。
2022年10月に「短期資金調達市場」を阿鼻叫喚の地獄絵図に陥れた「韓国レゴランド騒動」と、ほぼ同じ構図です。
債務不履行に至るまで……
まずハコモノの企画がありました。今回の舞台は、全羅北道・南原市です。
↑韓国の国宝にも指定されている「広寒楼」があります。そもそもは1419年に黄喜(ファンヒ)という重臣が南原に流刑になりました(朝鮮は流刑ばっかりなのです)。その際、失意の身を慰めるために建てた楼閣が「広通楼」。1444年に文官(&学者)の鄭麟趾(チョン・インジ)が、月の国の美女が住むという宮殿「広寒清虚府」になぞらえて「広寒楼」と呼び――それが定着したといわれます。しかし、豊臣秀吉の朝鮮征伐「慶長の役」の際に焼失し(秀吉テヘペロ)。1683年に再建され、現在に至っています。
『廣寒樓苑』(上掲写真)と『春香テーマパーク』(下掲写真)など、周辺の有名観光地を結ぶ観光型モノレールとジップラインを設置して運営する事業を考案しました。
↑『春香テーマパーク』は、『春香伝』をモチーフにしたテーマパーク。日本人はほとんどがご存じないでしょうが、『春香伝』というは、李氏朝鮮時代の説話で、妓生の娘と両班の息子の身分違いの恋愛を描いています。韓国で最も有名な古典文学です。
この事業を行うという民間事業会社がコンソーシアムを作り、PF(プロジェクト・ファイナンス)で事業資金を獲得しました。投入された事業費は「383億3,800万ウォン」。
約400億ウォンです。
毎度おなじみですが、債券を発行し、その保証を南原市が引き受けたのです。
この時点で「嫌な感じ」しかしませんが、これまた案の定、事業は収益性がまるでなく、民間事業会社・コンソーシアムは債務不履行に陥りました。
↑「AirLine」というモノレールも造ってしまいました(事業主が飛んだので現在は乗車できません)。
ここからの展開も『韓国レゴランド』と瓜二つです。
当然、債権者は、債券を裏打ちした南原市に向かいます。ところが、南原市の新市長(2022年06月01日に行われた全国同時地方選挙で左派・進歩系がボロ負けした)は、前市長が推進した「観光開発計画」の見直しに着手。
「この事業は採算性が甘かったんじゃないのか」と示唆。事業会社が飛んでるので、結論からいえば、全くそのとおりなのですが、ここからがいけません。
南原市はこの保証を放棄したのです。無責任にも「知らんがな」で逃げました。
『韓国レゴランド』と全く同じ事態です。
地方政府が保証を引き受けた債券が、すっかり回収の見込みがなくなりました。
キーは、「地方政府が裏書きしたのにその保証が履行されない」という点です。地方政府が保証をつけて、格付けが優良な債券であっても信用がおけない――と再び示したことになるのです。
2022年10月の『韓国レゴランド』ショックの際には、短期資金調達市場において金利が急騰。まさに阿鼻叫喚の地獄絵図となりました(以下の過去記事を参照してください)。
今回は、そのときの2,050億ウォンに比べて400億とひと桁小さい金額なので、「大丈夫だろう」という予測もあります。実際影響は小さくて済むかもしれません。
しかし、「起こったこと」は深刻です。地方政府の保証などアテにならないことを示しているからです。
旧正月の連休で現在、市場が開いていません。開いたらどうなるのか、市場がどう判断するのかが見ものです。
連続性を担保せず、信用のおけない韓国
↑本件を訪じるYouTube『MBCニュース』チャンネル
韓国の地方政府はバックレるのか? という話です。当然これは地方政府、公的機関の信用問題になります。当たり前ですが、ひいては中央政府、国としての信用問題にもつながります。
「大統領が変わったから約束は反故です」なんて国と契約するバカはいません。国際的な信用は地に落ちることになるでしょう(だから日本人は韓国を信用しないのです)。
韓国の皆さん(特にエラい人)が愚かなのは、すぐ「オレの約束したことじゃないもん」などと考えることです。企業などの法人もそうですが、地方政府、中央政府、公的機関に求められるのは「連続性の担保」と「信用」です。
市長が約束し、市としてハンコをついた契約は、市長が変わろうが「市」として責任を取らねばなりません。
それは前任者が約束したことでオレは知らん――このような言い訳が通るような話ではないのです。
韓国の皆さんは、「世界中が韓国を称賛している」などという夢を見る前に、自身の姿をよく省みて、外国から信用される条件を満たしているのかを再確認する――のがお勧めです。
(吉田ハンチング@dcp)