韓国の国会予算政策処(略称「NABO」)は韓国政府の財政について警鐘を鳴らしています。
収入に対して「支出が多すぎる」のです。
韓国政府の管理財政収支は2019年以降に急速に悪化し、「2019~2027年の9年間で『年平均:84兆ウォン』の赤字になる」と予測されています。
2024年第1四半期だけですでに「-75.3兆ウォン」の大赤字になっていますので、1年で84兆ウォンで収まるかどうか、怪しいものです。
収支は「収入 – 支出」なので、支出を減らすことができないなら、「収入を増やせ!」になります。
先の記事で「韓国政府の収入が足りない」という件をご紹介しましたが、当然これは「税収を増やさないと!」となり、「税金を上げるか」という議論につながります。
どの国も同じです。韓国が増税に向かう可能性が高くなりました。
注目は所得税と消費税(付加価値税)です。
『韓国租税財政研究院』のオ・ジョンヒョン租税政策研究室長は、消費増税について以下のように述べています。
「財源は特定の税目ではなく、所得税と付加価値税など複数の税目を通じて調達するのが適切だ」
「ただ、現在の税制で財源調達のために最初に考慮できる税目は付加価値税だ」
※韓国の現在の付加価値税の標準税率は10%。2022年時点でのOECD加盟国の平均税率は19.2%なので、韓国は税率が低い方になる。
「先進国の付加価値税率が韓国が目指すべき目標ではないが、税収確保の面で付加価値税率の引き上げはメリットがある」
「付加価値税は税源がかなり広く、税収確保に有利で、ほとんどの商品に同じ税率で課すため、経済的歪みも少ない」
「公平性はさまざまな観点から見る必要がある。特に、韓国の財政の問題を考えると、付加価値税は世代間の公平性を改善するためには肯定的な影響を与える可能性がある」
「現在、国民年金改革に関する議論が盛んだが、その改革の内容が財政の持続可能性確保に十分でない場合、付加価値税を引き上げてその一部を国民年金基金に積み立てる案も検討することができる」
「所得税も低所得区間を含め、全体的な税負担を増やす必要がある。同時に基本控除の拡大、選択的夫婦または世帯単位課税の導入など、所得税を家族にやさしいものに改編する案も検討できる」
どこかの国の財務省に言い分がそっくりですが、消費税はどこからでも広く取れて公平だそうです。また消費税で徴収したお金を国民年金基金に入れることもやぶさかではない――とのこと。
「所得税は低所得者も含めて全体的に税負担を増やすのがよい」としています。
政府がやっていけないので増税しよう!――という話ですが、消費税を上げると確実に経済が冷え込みます。不景気に陥った韓国経済ですので、とても増税などできるようには見えません
それはも「やる」というのでしょうか。尹錫悦(ユン・ソギョル)政権がどうするのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)