待っていた資料が韓国の企画財政部から公表されました。
韓国政府の負債がいくらあるのかについての資料で、D2、D3のデータが含まれています。
Money1では何度もご紹介していますが、韓国で公表される政府負債は「D1」であって、D2については年に一度しか出てきません。
『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)や『OECD』(Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略:経済協力開発機構)は、国際比較するに足る「D2」をもって政府負債とするのですが、なぜか韓国政府は「D1」をもって政府負債のデータとしています。
政府負債を少なく見せようとしているのではないのか、と邪推するわけですが、それはともかく、やっと2023年度のD2、D3までのデータが出ました。
初公開とな全体像が分かるデータを以下に引きます。「D1」「D2」「D3」の区分について知らないという方でも分かりやすい表組になています。以下をご覧ください。
4. 債務の種類別概念と活用
□ 債務統計は、国家債務(D1)、一般政府債務(D2)、公共部門債務(D3)の3つの種類で管理される。※以下は上掲のオリジナルの表組を日本語化したもの。
D1:1,126.8兆ウォン/対GDP比:46.9%
D2:1,217.3兆ウォン/対GDP比:50.7%
D3:1,673.3兆ウォン/対GDP比:69.7%
韓国政府はときに、韓国の政府負債の対GDP比は「50%未満」といい、これをもって「心配ない」ということがありますが、それはあくまでも「D1」の話です。
なんのことはない、D2では2023年時点でとっくに50%を超えています※。
※ちなみに韓国では「先進国で比較すれば韓国の政府負債対GDP比率は低い方」といっています。あれ韓国って先進国でしたっけ?――です。
D2の金額の推移を直近5年間で見ると以下のようになります。
2019年には、一般政府債務(D2)は「810.7兆ウォン」しかなかったのです。それが、2023年には「1,217.3兆ウォン」です。
政府負債は5年間で50.2%も増えたのです。
対GDP比の推移を見ると以下のようになります。
2019年のはD2は、対GDP比は「39.7%」だったのですが、翌2020年には「45.9%」と急増しています。
これこそが借金王・文在寅政権の成果です。文在寅はコロナ禍でお金をまかなければならないため、資金調達で負債をやたらに積みました。この急カーブが文在寅政権の実績です。
最近、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権になってからも負債を積んでいるじゃないか、文在寅時代と変わらない――という意見が出ていますが――それも文在寅政権のせいで当然の帰結なのです。
文在寅政権はコロナ禍克服を名目に政府予算を初めて600兆ウォンを突破させました。当然税収は足りません。
どうするかといえば、国債発行などで資金調達するしかないのです。そのため負債が積み上がります。
もう何度だっていいますが、そもそも韓国の規模で600兆ウォン超えの予算(支出)は無理なのです。
にもかかわらず、600兆超えからこっち、それでも予算は右肩上がり。2025年は673兆ウォンの予算です。政府負債が積み上がって当然でしょう。
今さら政府予算を急に10%も削るわけにはいかないでしょう。韓国はもういけるところまでいくしかない状況です。
「いけるところ」というのは、市場に「あれ、もしかして韓国ってもう融資を償還できないんじゃない?」と気付かれるまで――です。また、気付かれるまでに掛かる時間も、市場が決めることなので、誰にも分かりません。
一般政府債務(D2)は、D1に加え、非営利公共機関を含み、国際比較の指標として活用される。
公共部門債務(D3)は、D2に非金融公企業を含み、公共部門の財政健全性管理に役立てられる。
(吉田ハンチング@dcp)