2025年01月21日、現在拘置所に拘束されている韓国・尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、憲法裁判所で行われた弾劾審判第3回弁論に出席しました。
↑憲法裁判所での弾劾訴追の妥当性を問う審理、第3回目の弁論に出席する尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領。若干やつれて顔色も白かったですが、元気そうです。
ここまで1、2回は出席要請を蹴飛ばしたのですが、今回の弁論日には出席しました。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、「非常戒厳の宣言は自由民主主義の危機を正すための大統領としての責務だった」と明確に述べ、「非常戒厳の宣布は違憲である」という国会(要するに『共に民主党』)の主張に対して真正面から反論しました。
尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、この日の出席に先立ち、
「非常戒厳の宣言を必要とした国家非常事態とは、単なる物理的な戦争状況だけではなく、政治、経済、安全保障における重大な脅威やそれに伴う国政の麻痺・混乱を意味する」
「大統領は国政運営の混乱をもたらす多様な脅威に備えるため、非常戒厳を宣言した」
――と主張していました。
もう何度だっていいますが、非常戒厳の宣布は韓国の憲法に規定された大統領固有の権限であり、戒厳宣布事態は違憲でも何でもありません。
もし、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の行為が違憲だというなら、憲法裁判所はそれを納得させるだけの法的根拠を示さねばならないでしょう。
尹大統領は何を述べたか?
この日の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領の発言を以下に拾って引用します。
「私は物心がついて以来、特に公職生活を通じて自由民主主義という信念を一貫して持って生きてきた」
「国会の議決が妨害されることや延期されることはなかった」
「国会が国会法に必ずしも合致しない迅速な決議を行ったが、それを受けて直ちに軍を撤収させた」と述べた。
「布告令は戒厳令の形式を整えるためのものだった」
「実行する具体的な意思はなく、実行計画もなく、布告令を実行するための機関構成も全く含まれていなかった」
(尹大統領が非常戒厳を宣言した2024年12月03日午後10時40分ごろ、崔尚穆(チェ・サンモク)大統領代行に非常立法機関の設置を指示する趣旨のメモを渡したとされる件について)――
――「私はそれを渡したことはなく、その後かなり経ってから戒厳を解除した後、メモが報道に出たことを記事で知った」
「記事内容も不正確で、それを作れるのは国防部長官しかいないが、当時長官は拘束されており、具体的な確認はできなかった」
「記事内容を見ると内容自体が矛盾しているようにも思える」
(不正選挙論について)――
――「陰謀論を提起しているのではなく、事実を確認するためだ」
「戒厳を宣言する前に、選挙の公正性に対する信頼について多くの疑問が生じていた」
「2023年10月、国家情報院が中央選挙管理委員会の一部電子機器を点検した結果、多くの問題が確認された」
「不正選挙そのものを摘発しようというのではなく、選挙管理委員会の電子システム全般をスクリーニング(点検)できるならば行うべきだと言っただけだ」
この日の弾劾審判第3回弁論日は、1時間43分で終了しました。
陰謀論だって? なぜきちんと調べないのか?
日本でも「尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は陰謀論を振りかざして自身の戒厳宣布を正当化している」などと述べる「識者なる人」がいますが、とんでもない言説です。
Money1でも先記事(2023年10月11日付け)でご紹介したとおり、中央選挙管理委員会が支配して調査もさせない選挙システムは、国情院と『KISA』(韓国インターネット振興院)の合同調査チームによって、外部からの侵入(ハッキング)について非常に脆弱であることが判明しています。
なにせ「100点満点で31点」と評価されたのです。韓国は「全然駄目な選挙用システム」を使ってきたのです。
詳細は上掲記事を参照していただきたいのですが――、
「ハッカーが開票結果の値を変更することができた」
「システム管理面でも、インターネットから業務網と選挙網など内部重要網への侵入を防ぐことができず、単純なパスワードを使用しているため、主要システムへの侵入が可能だった」
――と確認されており、それを韓国メディアも報じています。
にもかかわらず、全く是正されたという話もなく、中央選挙管理委員会は2024年04月の国会議員総選挙でも仕事を担当しました。
誰が聞いてもおかしな話です。大統領が「韓国の選挙管理システム」に疑念を抱き、それを国民に知らせようとしても当然のことでしょう。
もし大統領の疑念がただの陰謀論だというなら、今からでも徹底的な調査を行えばいいのです。
検察仕事で人生のほとんどを過ごしてきた尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領にとって、法定での質疑応答など十八番ですし、「本業」です。憲法裁判所での弁論は望むところでしょう。
↑憲法裁場所の判事は現在8人。尹大統領の弾劾訴追を「違憲だ」とするためには、3人が「弾劾訴追は違憲」と判断する必要があります。韓国は「雰囲気司法」なので、尹大統領を支持する国民がさらに増える必要があります
もし尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領を罷免したいなら、憲法裁判所は、国民の誰もが納得できる形で「違憲性」をつまびらかにしなければなりません。法理に則った弁論で、韓国が法治国家であることを証明してもらいたいところです。
次回の「第4回弁論期日」は23日に予定されています。
左派・進歩系は何をするか分かりません。もし尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が罷免されないかもしれない――となると、暴力沙汰に訴える可能性は否定できません。
尹錫悦(ユン・ソギョル)さんが大統領に就任したときにMoney1でもご紹介したことがありますが、この人は朴正煕(パク・チョンヒ)ワナビーです。尹さんがその最期まで朴大統領のようにならないことを祈ります。
(吉田ハンチング@dcp)