李在明（イ・ジェミョン）さんが韓国大統領に成りおおせ、予定どおり、韓国内では保守寄り勢力が根絶やしにされそうになっています。
『朝鮮日報』が興味深い記事を出しました。
同記事より一部を以下に引きます。
先週、米ワシントンD.C.を訪れた韓米議員連盟の議員たちと会い、
「尹錫悦（ユン・ソギョル）前大統領が不公正な捜査や裁判を受けてはならない」
と発言したとされるフレッド・フライツ『米国優先主義政策研究所』（AFPI）副所長が、今月初め、李在明（イ・ジェミョン）政権の「安保の責任者」である魏聖洛（ウィ・ソンラク）国家安保室長とも会談し、同様の立場を伝えていたことが確認された。
フライツ氏はトランプ第1期政権時代にホワイトハウスNSC事務局長を務めた側近グループの一人で、28日に自身のX（旧Twitter）で
「尹前大統領が迫害を受けたり起訴されるとの認識は、トランプ政権には非常に悪い印象を与えるだろう」
と述べた。
同日、本紙との電話インタビューでフライツは、「先月から韓国政府関係者、議員たちと何度か会議を行った。魏室長との面談内容については詳細を語りたくない」と前置きした上で、
「尹前大統領が不当な扱いを受けてはならない（not being mistreated）と魏室長に強調したことは事実だ」
と語った。
（中略）
フライツの懸念に対して、魏室長がどのように反応したのかは伝えられていない。
フライツは「私はトランプ政権で現在は働いていないため、個人の立場として発言している」としながらも、「尹前大統領が不当な扱いや迫害を受けたり、過度な刑を受けるとの認識は、合衆国で非常に否定的に受け止められるだろう」と述べた。
また、「ケースは異なるが、トランプも退任後に政治的迫害を受けている。トランプ陣営には、韓国の政治状況、特に最近の大統領選挙とその後の展開を非常に注意深く見守っている人々が多い」と語った。
（中略）
トランプはブラジルとの関係において、前大統領ジャイール・ボルソナロが不当な「弾圧」を受けたとし、最大50％の関税を課すと発言した。
これは、是非にかかわらず他国の内政問題が外交政策に影響を与え得ることを象徴する場面だった。
「同様のことが韓米関係にも起こり得るか」との質問に、フライツは「個人的な意見として、近い同盟国の元大統領が退任後に迫害を受けているとの認識は、合衆国、そしてトランプにとっても非常に否定的に受け止められるだろう」と答えた。
（中略）
また、尹前大統領に関する最近の報道に言及し、「拘束中に適切な扱いを受けていない」「死刑や無期懲役の可能性があるとの報道もあり、私は非常に懸念している」と述べた。
（中略）
一方で、「韓国が米韓同盟を維持しながらも中国・ロシアとの関係を管理するという『バランス』が可能か」との問いには「もちろん不可能だ」と断言した。
（後略）
Fred Fleitzとはどのような人物か？
Fred Fleitz（フレッド・フライツ）さんは、アメリカの国家安全保障・外交政策分野で長年活動してきた保守派の政治人物・アナリストです。
『America First Policy Institute』（米国優先主義政策研究所：AFPI）の副所長で、そもそもCIAで19年間も勤務した経歴を持つ人ですが、あのジョン・ボルトンさん（元国連大使、元国家安全保障担当大統領補佐官）の下で主席補佐官として勤務したこともあります。
2018年には、一時的に国家安全保障会議（NSC）事務局長（Chief of Staff）に任命されましたが、野党や元諜報関係者からの強い反発があり、数カ月で辞任しています。
トランプ系シンクタンクといわれる『AFPI』副所長にして担当部門は「国家安全保障部門」です。
トランプ政権に強く共鳴する「アメリカ・ファースト（America First）」主義者で、中国やイランに対して極めて強硬な立場を取ることで知られる。
簡単にいえば、彼もまた反中大将ですが、日米韓の連携を重視する一方で、「左派政権による司法の政治利用」にも敏感です。
つまりフライツさんは、先にご紹介した『アメリカ合衆国選挙監視団』（U.S. Election Monitoring Delegation）の調査結果にも目配りしている人物ということになります。
これは合衆国が、李在明（イ・ジェミョン）さんが大統領に就任したときに言及した「全世界の民主主義国家に対する中国の干渉と影響力」（大統領就任時の表明としては極めて異例）とも符合します。
全ては関係があるのです。
合衆国は尹錫悦前大統領の扱いに注目している
韓国の保守寄り勢力が根絶やしにされようとする今、フライツさんが「尹前大統領が不当な扱いや迫害を受けたり、過度な刑を受けるとの認識は、合衆国で非常に否定的に受け止められるだろう」と述べたこと、またそれが韓国で報じられたこと――は注目に値します。
これが保守寄り勢力による、合衆国へのチクリによって起こった反応なのかは分かりませんが、
フライツさんが――前大統領ジャイール・ボルソナロが不当な「弾圧」を受けたとして、トランプ大統領がブラジルに最大50％の関税を課すと発言したことを想起しろ――と述べたのは、「警告」に近い発言といえます。
先にご紹介したとおり、内乱罪で罪を問うなら尹錫悦（ユン・ソギョル）前大統領には極刑判決があり得ます。
フライツさんがこの点にも言及したのは、注目ポイントの一つです。
大統領に成りおおせた李在明（イ・ジェミョン）さん主導の下、韓国は独裁国家に向かっています（もうなっている）のですが、「合衆国からの圧力」（外圧）にどう抵抗できるのかは見ものです。
（吉田ハンチング＠ｄｃｐ）
