中国では住宅価格が下がる一方です。
中国統計局が毎月公表している数字もそれを裏付けているのですが、それでも「底なし沼」状態であることを国民が発信するのは許さん――当局が取り締まりうに乗り出しています。
中国一の商都・上海で――です。下掲は『上海市房屋管理局』(Shanghai Municipal Housing Administration Bureau)が2025年12月03日に出した傑作な記事です。
『上海市房屋管理局』は、上海市人民政府の下に置かれる地方行政機関で、上海市内の住宅・不動産に関する管理・監督を担当しています。
不動産市場に対してネガティブな情報を流す情報源に対して――
●「4万件の不良不動産情報」を削除
●「7万件の違反アカウント」を処理(バン)
●「1,200の違反ライブ配信」閉鎖
――を行ったと述べています。
簡単にいえば「言論封殺」に他なりませんが、中国では中国経済にネガティブなことを言うのは許されないのです。大笑いな内容なので以下の和訳をご覧ください。
11月14日、上海市委網信弁公室は市房管局、市公安局網安総隊などの部門と共同で、インターネット上の不動産情報の伝播秩序を規範化する特別整治行動を開始した。
特別行動の展開以来、『小紅書』、『ビリビリ』などのウェブサイト・プラットフォームに対し、不動産市場を悲観させる内容や不動産政策を歪曲して解釈するなどの違法・違規および不良情報4万件超の自主点検・清理を指導し、違反した不動産関連アカウント7万超を処理し、違反ライブ配信室1200超 を処置し、定期的にガバナンス公告を発表している。
■ケース1
一部のアカウントは「インサイダー物件」「市場価格より大幅に安く販売」といった売り文句で物件情報を掲載し、市場常識を明らかに下回る価格ラベルを設定してユーザーのDM相談を誘い、さらに投稿内容で「特別なルートがある」「逃したら二度とない」といった統一的な話法を用いて誘導を図っていた。関係するアカウントは、関連プラットフォームにより法令・規約に基づき閉鎖された。
■ケース2
一部のアカウントは不動産政策をめぐり誇張した解釈内容を発信し、「不動産市場がまもなく暴落」「今後は売却不能」「市場が崩壊へ」といった表現を用いて、正常な政策調整を誤読・脚色・過度に拡大し、ユーザーの恐慌的な期待を誘発していた。関係するアカウントは、関連プラットフォームにより法令・規約に基づき閉鎖された。
■ケース3
一部のアカウントは偽の物件画像を使用し、取引情報を捏造し、生成または合成した虚偽の住宅画像を用いて包装展示し、「実際に販売中の物件」であるかのような偽の印象を作り出したり、架空の家主インタビュー内容をでっち上げ、異なる物件情報を継ぎ合わせて虚偽の演出を行い、ユーザーに物件の真実性について誤った判断をさせていた。関係するアカウントは、関連プラットフォームにより法令・規約に基づきアカウント停止処分が行われた。
■ケース4
一部のアカウントはライブ配信を利用して上海の不動産市場を歪曲して解釈し、一部エリアを「ラベリング」したり、一部をもって全体を論じるなどして市場の期待を誤導していた。関係するアカウントは、関連プラットフォームにより法令・規約に基づきアカウント停止処分(禁言)が行われた。
■次のステップ
『上海市委網信弁公室』は、関係部門と協力して引き続き高圧・厳格な管理態勢を維持し、不動産分野のオンライン乱象への取り締まりを強化し、インターネット上の不動産情報伝播秩序を着実に規範化していく。広大なネットユーザーが事実に基づいた手がかりを提供することを歓迎し、共に力を合わせ、清朗なネット空間を共同で維持していこう!
⇒参照・引用元:『上海市房屋管理局』「假消息疯传:上海楼市即将暴跌?“五类房子以后一文不值”…官方出手:7万余个违规账号被处置」
「不動産市場がまもなく暴落」どころか、ずぶずぶの底なし沼にハマっている――というのが本当のところでしょう。
当局がいかに口を塞ごうとしても、中国の皆さんの悲嘆が止まることはありません。
(吉田ハンチング@dcp)






