2026年01月26日、韓国の『ハンファグループ』がカナダの鉄鋼、AI、宇宙分野の企業5社と、戦略的投資および協力のための了解覚書(MOU)を締結しました。
これはカナダの次期主力潜水艦調達計画を受注するための地ならしのための動きです。

↑カナダ海軍の通常動力型潜水艦「HMCSウィンザー SSK877」
カナダの潜水艦調達計画とは?
まず、カナダの潜水艦調達計画についてご紹介しておきます。ご存じの方は次の小見出しまで飛ばしてください。
カナダの潜水艦調達計画は、政府(国防省DND/調達当局PSPC)が公式に 「Canadian Patrol Submarine Project(CPSP)」 と呼んでいるものです。
現有4隻のビクトリア級(Victoria-class)潜水艦の後継(更新・拡充)を目的とする大型調達計画です。
カナダ国防省は2024年07月――、
CPSPを通じて最大12隻のconventionally-powered(通常動力)でunder-ice(アンダーアイス)能力」を持つ潜水艦を取得し、
RCN(カナダ海軍)が 「秘匿的に」海上脅威を探知・抑止し、maritime approaches(海上交通路)をコントロールし、“3 coasts”=三つの海域(大西洋・太平洋・北極)で持続的な抑止力を投射できるようにする
――と野心的な計画を明らかにしました。
※上掲の引用元は『カナダ政府』公式サイト「Canada launching process to acquire up to 12 conventionally-powered submarines」
現有のヴィクトリア級潜水艦4隻はポンコツもいいところで、1998年にイギリス政府から購入され、 2000年から2004年の4年間にわたりカナダに納入されました。

↑2025年03月11日、カナダのビクトリア級潜水艦SSK 878(コーナーブルック)PHOTO(C)@WarshipCam
最初の3隻(ヴィクトリア、ウィンザー、コーナーブルック)は、カナダに到着後まもなくカナダ海軍に就役。4隻目のシクーティミは2004年にカナダに納入されましたが、2004年の火災とその後の修理のため、2015年までカナダ海軍に就役しませんでした。
世界がきな臭くなっている現在、カナダ政府としては迅速に潜水艦戦力を更新しなければばりません。北極海の哨戒任務もまさに焦眉の急です。
カナダ政府が公開しているQPN(Question Period Not:国会答弁用レク)によると、
2028年までの契約(award)を見込み、最初の代替潜水艦は遅くとも2035年までに引き渡し
――と政府目線での目標が書かれています。どのくらいお金がかかるのか――ですが、試算はいろいろありますが、例えば『BREAKING DEFENCE』では「約600億カナダドル(約435億米ドル)」と報じています。
韓国メディアでは「約6兆ウォン」と報じているのですが、これを狙っているのです。
韓国は「カナダに選ばれたい」で必死
Money1でもご紹介したとおり、ポーランドも潜水艦調達を企図しており、韓国は政府含めて猛烈に売り込んでいたのですが、空振りしました。

ポーランドはスウェーデンの「A26」を選択し、韓国産潜水艦は一蹴されました。
「ポーランドの敵をカナダでとる」みたいな話になっており、韓国は「今度こそは」と意気込んでいます。
2025年08月、カナダ政府は、韓国の『ハンファ・オーシャン』とドイツの『ティッセンクルップ・マリン・システムズ』が、CPSPにおける「適格供給者」に選定された――と公表しました。
これを受けて『ハンファオーシャン』は、
「カナダ政府からカナダ巡視潜水艦計画(CPSP)の適格供給者として選定されたことを大変光栄に思う」
「2026年に契約が締結されれば、ハンファは2035年までに4隻のKSS-III CPSを引き渡し、カナダの現行ヴィクトリア級艦隊を完全に代替することが可能である。
ヴィクトリア級艦隊を早期退役させることで、整備および支援コストにおいて約10億ドルの節約が見込まれる。
残る8隻の潜水艦は年1隻のペースで引き渡され、12隻すべての艦隊は2043年までにカナダに引き渡される。
これほどの納入スケジュールに近づける選択肢は他に存在しない」
――と誇らしく語りました。『ハンファオーシャン』は「KSS-III Canadian Patrol Submarine(KSS-III カナダ巡視潜水艦)」と予呼ぶ艦艇を提案しています。
韓国メディアは今回の5つの分野でMOU締結について「(潜水艦の本受注)とったどー!」な報道になっていますが、まだ分かりません。
「qualified supplier(適格サプライヤー)」に選定された」ことは、「受注が確定した」ではありません。
日本が下りてしまったので、ドイツと韓国の一騎打ちみたいなことになっていますが、さて韓国産潜水艦は凱歌を揚げることになるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)





