韓国の外貨準備についてです。『韓国銀行』は韓国の「外貨準備」を運用しています。大金をただ預金しておくよりも投資して少しでも増えるように努力した方がいいですからね。
『韓国銀行』は外貨準備の運用について以下のように説明しています。
『韓国銀行』は、韓国の最終的な対外支払準備資産である外貨準備高を運用している。
外貨準備高の運用目標は、安全性と流動性の確保を最優先とするもの、適正な範囲内で収益性を向上するものである。
これは、外貨準備高が韓国の最終的な対外支払準備資産であるという点を考慮したもので、ほとんどの中央銀行が同様の運用目標を採用している。
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
つまり、投資・運用するけれども、いざというとき使えないとなんのための準備資産か分からないので「安全性と流動性を最優先に考えた投資にするよ」「くれぐれも大きなもうけを求めた危険な投資はしないよ」といっています。
さすがフタを開けたらあるはずのドルの大半が市中銀行に貸し出されていた、という過去を持つ国です。言葉の重みが違います。
すぐに現金化でき使える資産は「4.6%」
で、実際にどのように運用しているかですが、『韓国銀行』の説明によると運用目的に応じて、まず「現金性資産」と「投資性資産」に分かれます。
投資性資産は「誰が投資するのか」の投資主体によって「直接投資資産」「委託投資資産」に分かれるとのこと。
以下のようなイメージになります。
それぞれについて『韓国銀行』は以下のように説明しています。
現金性資産は、日常的に発生する外貨資金の頻繁な流動および一時的な外貨資金需要に迅速に対処するための資産である。
現金性資産の運用規模は、資金流動実績、外貨流動性の需要見通しと現金性資産保有に伴う機会費用などを考慮して決定するために、2019年末現在の外国運用外貨資産の4.6%を占めている。
投資対象は、売却時の取引コストを最小化できるよう、米ドル短期国債や預金などの短期金融商品(money market)を中心に運用する。
日常的な外貨の流動性に即応するための資産で、Deposits(預金)がまさにこれに当たりますが、この現金性資産は非常に少なく全体の「4.6%」に過ぎないようです。
逆に言えば、4.6%を超える金額をすぐに使わざるを得なくなる事態になると危ない、ということではないでしょうか。
直接投資資産は、安定的な収益獲得のために主要国の中長期債券に投資する資産。2019年末現在、国外の運用外貨資産の74.6%を占めている。
投資対象は、主要先進国の通貨で発行された中長期国債、政府機関債、社債、資産担保債などの流動性と安全性の高い債券で構成されているが、現金性資産と一緒に韓国銀行が直接運用している。
資金流動などで現金資産規模が大きく増減する場合には、直接投資資産の資金移管を介して適切なレベルを維持している。
直接投資資産は『韓国銀行』が投資、管理するもので(ただし金融委員会で基本方向を議決する)、収益性の高いものに投資する資産です。ただし安全性も管理しているよ、と。
委託資産は、外部の専門知識を活用し、投資方式の多様化などを目的に設定された資産。国際機関、世界有数の資産運用会社、『韓国投資公社』(KIC)等に委託して運用する資産を意味する。
類型別には債券ファンド、ファンドとの混合ファンドで構成されている。債券ファンドは、先進国政府債、優良社債と資産流動化債、物価連動債などに投資するファンドで構成されている。
株式ファンドは、ほとんどの先進国株式ファンドで構成され、この他中国株を含んでいる。
混合ファンドは債券や株式の両方を運用するファンドで、「韓国投資公社法」に基づき、委託運用しているKICファンド、GTAA(Global Tactical Asset Allocation)ファンドなどがある。2019年末現在、国外の運用外貨資産の20.8%を占めている。
委託(投資)資産は、その名のとおり『韓国銀行』外の組織に任せて投資、管理するもの。代表的なのは『韓国投資公社』(KIC)です。この2005年に設立された公社は韓国の外貨準備の一部の資産を運用しています。
で、2019年の期末には以下のような構成だったとしています。
2019年 | |
現金性資産 | 4.6% |
直接投資資産 | 74.6% |
委託(投資)資産 | 20.8% |
合計 | 100.0% |
現金性資産は「4.6%」としていますが、2019年12月末の韓国の外貨準備を調べてみると、Official Foreign Reserves(外貨準備)「4,088億ドル」、Deposits(預金)は「129億ドル」で、これは「3.2%」に当たります。
ということは、差し引き「1.4%」すなわち「59億ドル」分の「現金性資産」を債券などの形で保有していたことになります。その正体はなんでしょう。米ドル短期国債でしょうか?
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
(柏ケミカル@dcp)