韓国メディア『毎日経済』が04月の輸出入のデータを報じています。産業通商資源部が公表したとしているのですが、同部のホームページに見当たりません。
不本意ではありますが、2021年05月01日の同紙の記事からデータを引きます。以下です。
輸出:511億9,000万ドル(約5兆5,951億円)
輸入:508億ドル(約5兆5,524億円)
貿易収支(輸出 -輸入):3億9,000万ドル(約426億円)
『毎日経済』は、輸出が「対前年同期比:41.1%」で貿易収支の黒字が12カ月連続黒字と書いていますが、問題はそこではありませんし、喜んでいる場合でもありません。
注目いただきたいのは、貿易のもうけを示す貿易収支が「3億9,000万ドル」しかないことです。
何度もご紹介していますが、韓国は貿易収支が十分に大きくないと経常収支が黒字にはなりません。つまり、国が成立しません。
コロナ禍でドボン寸前だった2020年04月、韓国の経常収支は赤字(-32億9,800万ドル)に転落し、韓国メディアも大騒ぎしましたが、このときの貿易収支は、
輸入:348億1,750万ドル(約3兆8,056億円)
貿易収支(輸出 -輸入):7億480万ドル(約770億円)
※『韓国銀行』公表の国際収支統計から引用
でした。「貿易収支:約7.4億ドル」で経常収支は赤字転落したのです。で、今回の発表では、これより少ない「貿易収支:3.9億ドル」だというのです。
12カ月連続黒字などと喜んでいる場合でしょうか。
先にご紹介したとおり、韓国の経常収支の構造は以下のように、「①貿易収支の大きな黒字」「②サービス収支の赤字」「③第1次所得収支の小さな黒字」「④第2次所得収支の小さな赤字」となっており、貿易収支が十分に大きくないと黒字にはならないのです。
今回の報道では「貿易収支:約3.9億ドル」です。これで経常収支が黒字になるでしょうか? 赤字にならない方が不思議です。
しかも「残酷な4月」は、韓国から海外への巨額の配当支払が発生し、③の第1次所得収支がいつもの「小さな黒字」から「大きな赤字」になる月なのです。
論より証拠、2020年04月の第1次所得収支は「25億6,440万ドルの大赤字」でした。
赤字が避けられるとすれば、貿易収支がこのまま「3.9億ドルで締まらない」、すなわち「3.9億ドルではありませんでした。もっと黒字は大きかった」しかないと思われます。
04月の結果は、06月第1週に『韓国銀行』から公表される国際収支統計で分かります。どんな数字にバケるのか、ぜひご注目ください。
(柏ケミカル@dcp)