2021年07月20日、韓国の『金融監督院』が韓国企業の資金調達の状況が分かる興味深いデータを公表しました。
以下をご覧ください。
2021年韓国企業の資金調達
株式発行:12兆6,361億ウォン(約1兆2,004億円)
社債発行:110兆1,300億ウォン(約10兆4,624億円)
CP発行:181兆8,212億ウォン(約17兆2,730億円)
短期社債発行:577兆3,362億ウォン(約54兆8,469億円)
小計:881兆9,235億ウォン(約83兆7,827億円)
株式・社債発行による資金調達は過去最大規模に膨らみました。以下は2018年からの推移です。
株式発行は、対前年同期比で約6倍の規模に膨らんでいます。
株式投資ブームで株式市場が活況を呈しているため、企業のIPO(新規株式公開)による規模が膨らんだこと、また有償増資を行う企業が増えたことが、株式発行が増加した理由です。
『大韓航空』と『アシアナ航空』の合併の件の際にご紹介しましたが、有償増資は資本増強に使われる手法ですので、そうしないといけない企業が増えたというわけです。
社債は企業が発行する債券で、定期的に利子を支払い、満期が来たら元本を返済するというもの。
社債は対前年同期比で「23.2%」増加し「110兆1,300億ウォン」に達しました。
先にご紹介したとおり、『韓国銀行』はすでに利上げを宣言しています。利上げが行われると社債の利子も上げないとならず、つまり企業からすると社債を買ってくれた人(お金を貸してくれた人)に対する利子払いが増えてしまいます。
そのため、「利子の低い今のうちに」と先制的に社債を発行した企業が多かったのではないかと『金融監督院』は見ています。
以下は、CPと短期社債の発行金額推移です。
CP(Commercial Paperの略)というのは企業が発行する約束手形の一種で、額面よりも安価に買え、満期になったら額面金額を受け取れるという仕組みになっています。例えば、1,000円のCPを970円で買い、満期になったら1,000円受け取れる――すると30円がもうかったことになります。これが利子になるわけです。
短期社債は満期が1年以内にくる社債です。
CPは対前年同期比で12.2%増加、短期社債は11.5%増加しています。
資金調達がスムーズに行えているのはいいことですが、社債・CPはいわば借金の手段です。返済しなければなりませんので、過去最大規模に債務が膨らんだともいえます。
(吉田ハンチング@dcp)