韓国にも雇用保険基金があって、日本と同様に労働者を被保険者として保険料を徴収し、失業給付(いわゆる失業保険)などを行っています。
何度もご紹介していますが、韓国の雇用保険基金は事実上破綻しています。皆さんから徴収する保険料だけでは失業給付などの出費を賄(まかな)いきれず、よその政府基金からお金を借りており、その利子払いも行っています。
基金の枯渇を借入金で賄(まかな)っている
雇用保険基金の雇用保険積立金は2020年末時点で「6兆7,000億ウォン」(約6,298億円)しか残っていませんでした。
韓国雇用労働部によると、2021年末には「4兆7,000億ウォン」(約4,418億円)まで減ります。7兆9,000億ウォンの借入金があるので格好がついていますが、大変な赤字です。
どうするんだ、という話なのですが、2021年08月28日、韓国企画財政部が雇用保険基金について以下のようなプレスリリースを出しています。
⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「雇用保険基金事業は危機対応で将来的に再編、政策ファンドは民間投資マッチング実績に基づいて政府出資と連携」
このリリースは基金で行うファンド事業についての話なのですが、中にこの基金の急速な枯渇について触れた部分があります。急速な資金減少が起こったのは、コロナ禍に対応して「雇用維持支援金」を給付したことも大きな要因だとしています。
雇用維持支援金というのは、従業員の雇用を維持するのであれば、政府から支援金を出しましょうという制度。例えばLCC(格安航空会社)などはこぞって利用しました。コロナ禍からの回復が見え、コレを縮小できるので、資金急減の現状からは抜け出せると見込んでいます。
雇用回復が順調とはいえないのが本当のところ(60歳以上の雇用ばかりが増えたりしている)ですから、雇用維持支援金は減らせるかもしれませんが、肝心の保険料徴収がコロナ前水準まで戻るのかは疑問です。また、失業給付が1兆ウォン(約940億円)を超えて高止まりしている点も不安要因です。
雇用保険基金を存続できるように根本的な改革が必要ですが、末期となった文在寅政権にはそれを行う余裕はないようです。
(吉田ハンチング@dcp)