韓国での空売り禁止の話題をご紹介していたら、イギリスから驚きのニュースです。
韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官がロンドンを訪問しているのですが、コリンシアホテルで開催された韓国経済説明会で以下のように述べたとのこと。
(前略)
「韓国経済の位相と海外投資家の認識を考慮すると、モーガンスタンレーキャピタルインターナショナル(MSCI)先進国指数編入の妥当性は十分だと思う」
(後略)
これは、Money1で何度もご紹介している、「『MSCI』に先進国として認められたい!」についての話です。
韓国は2014年に観察対象国からも脱落している
株式の取引をされない方はご存じないでしょうが、『モルガン・スタンレー・キャピタル・マネジメント』(略称「MSCI」)が算出している「MSCI指数」というINDEXがあります。
MSCI指数の中には、
新興国市場(Emerging Market)
フロンティア市場(Frontier Markets)
という分類があります。
韓国市場は「新興国市場」に分類されており、先進国市場とは見なされていません。
ネット上で「韓国を先進国と呼びたいのなら、MSCI指数で先進国に分類されてからにしよう」といった書き込みが見られるのはこのためです。
韓国はなぜだか「外国から先進国と見られること」に異常に執心しており、MSCI指数で新興国市場に入っている現状を変更したいと願っています。
Money1でもご紹介したことがありますが、例えばあの『全国経済人連合会』は「MSCI指数で先進国市場となれるように政府はもっと努力をすべきである」といった提言を行っています。
実際、韓国が「先進国市場になるかも……」と期待できた時期もありました。
『MSCI』は毎年06月に定例会議を開催し、指数の変更・編入などを決定します。ただし、その年にすぐ変わるということはないのです。
新興国市場から先進国市場に編入を行う場合には、いったん「観察対象国」になります。この観察対象国の期間を経て、『MSCI』の基準を満たしていると判断されれば、編入が行われるのです。
韓国は観察対象国になったことがあるのですが、2014年に観察対象国からも脱落し、以降は観察対象国にもなれていません。
ですので、韓国が先進国市場と認められたいのなら、まず韓国は観察対象国になるよう努力しないといけないのです。
空売り禁止措置を1年以上も行うのは先進国ではない
今回の洪長官の発言は「韓国経済の位相と海外投資家の認識を考慮すると、MSCI先進国指数編入の妥当性は十分だと思う」です。
この発言は全くいただけません。
なぜかというと、「海外投資家が妥当性がないと判断している」からこそ、韓国は観察対象国からすら落っこちてそのままなのです(だってモルガン・スタンレーが運営しているんですよ!)。
「海外投資家の認識を考慮すると」の部分を『MSCI』は苦笑いして聞いたのではないでしょうか。
ちなみに、2021年06月の会議において、韓国が指摘されたのは以下のような点とされています。
②英語による説明資料が不足していること
③外国人投資家の登録義務
④空売り禁止措置が1年以上もの長期間に及んだこと
etc
このように理由は明らかにされていますので、洪長官がいくら「妥当性が十分」と言い張っても上記の点をクリアできなければ、『MSCI』は認めません。
驚くなかれ、いまだに一部銘柄は空売り禁止ですし、その上「空売り禁止すべき」と主張する政治家が息巻いているような状況ですので、韓国が先進国市場と判断されるのは、まだまだ先のことでしょう。
さらに噴飯物なのは、洪長官が「今回の説明会をきっかけに先進国指数編入を本格的に再推進し、MSCI側とも積極的に協議する計画」と述べている点です。
協議しても、『MSCI』は「(上記のような課題点を)クリアしてくださいね」と話して終わりでしょう。
どうも韓国という国は、明確に基準が設けられていて、それをクリアできなくても、ネゴネゴすればなんとかなる――と考えている節があります。
日本に対する協議もそうですし、『CPTTP』も同じです。
なぜ、そのようなメンタルになれるのか全く理解できませんが、恐らく自己評価が高く、「他国は韓国を下にも置かず扱うはず」と思い込んでいるからなのでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)