韓国の文在寅大統領の任期満了まで6カ月を切りました。韓国メディアでは文政権の総括、また2022年の予算と絡めての報道が盛んになってきました。
韓国メディア『毎日経済』に、2021年11月24日韓国プレスセンターで開催された「2030ビジョンセミナー」での議論についての興味深い記事が出ています。記事の中にある面白い数字をご紹介します。
同記事から一部を以下に引用します。
(前略)
『経済社会研究院』が主催し、『MBN・毎日経済』が後援した今回の行事では、現政府発足以後急激に悪化した財政健全性を正常化させなければならない、という警告が並んだ。文在寅政府が発足した後、現在まで増加した負債と政府が以後3年間で計画した負債増加量を加えれば665兆ウォンほどになる。
これは、大韓民国政府樹立から朴槿恵政府までの国家債務の増加額よりも大きいという指摘も出た。
パク・ヒョンス元韓国租税財政研究院院長は「政府支出は急増するのに収入は減少する『ワニの口』現象がコロナ19事態以前から始まって徐々に深化している」と述べた。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「윤희숙, 의원사퇴 후 첫 등장…李 겨냥 “돈 뿌리는 패거리 정치”」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
文政権の発足以降増えた政府負債と以降の3年間で増やす負債を足すと「665兆ウォン」(約63.2兆円)になるといっています。
なぜ、ここまで政府債務が膨らむのかというと、現在の文政権が2025年までの支出として、例の「韓国版ニューディール」などの計画を立て、使うお金(支出)を決めてしまったからです。
つまり、文在寅さんが退任しても道筋をつけてしまった支出は、次政権になっても(このままでは)行われてしまうのです。
見えている支出だけでも665兆ウォンとなるわけですが、他にも、例えば加徳島に(要らない)新国際空港を建設するための法律を通したりしていますので、この分の建設費用などもかかったりします(国土部の試算によれば28兆6,000億ウォン(約2.7兆円)かかる)。
また、「2050年にカーボンニュートラル」と宣言し、そのために太陽光・風力発電施設を乱造しないといけない道筋をつけましたので、その分の補助金や投下資金を入れれば、665兆ウォンなどでは済みません。
いずれにせよ、文政権下で増やした政府負債だけではなく、この先の支出も含めて政府負債増は、見えているだけで665兆ウォンあり、いくらまで増えるのか分からないのです。
で、文政権で増えた政府負債は、韓国成立から朴槿恵(パク・クネ)大統領時代までに増えた政府負債を上回った――というのです。
文在寅という人はまさに韓国史に残る活躍をしたことになります。
さらに、同記事の以下の部分にご注目ください。
(前略)
政府の国家財政運用計画によると、2024年の国家債務見通しは1,291兆5,000億ウォンで、現政府が発足する前の2016年の626兆9,000億ウォンの2倍を超えることになる。現政府序盤までだけで年間の国家債務増加額が40兆~50兆ウォン規模だったが、2020年から年間100兆ウォン以上増加し、2024年までにこのような傾向が持続すると仮定した結果だ。
(後略)
文政権は一代で政府の借金を「626兆9,000億ウォン」(約59.6兆円)から「1,291兆5,000億ウォン」(約122.7兆円)の2倍以上に増やしました。
また、年間100兆ウォン以上ずつ政府負債が増加すると仮定できる理由は、上掲のとおり、文政権がそのような道筋をつけたからです。
どうするよ――という話になっているわけですが、どうするもこうするも、もし政府負債をなんとか減らしたいのであれば、次の政権が「文政権がつけた道筋を片端からひっくり返していく」しかありません。
もちろん「このままいけるところまでいく」というのも、一つの手ではあります。
どちらを選ぶのか(あるいは何もしないのか)は韓国の皆さんが選ぶ次のリーダー次第です。
(吉田ハンチング@dcp)