2022年には最大で「30兆ウォン」の営業赤字を出すと推測されている『韓国電力公社』(以下は『韓国電力』と記載)。どうするんだという話ですが、韓国政府と『韓国電力』近辺で永久債を発行してその場を凌ぐという話が出ている――と韓国メディアが報じています。
永久債というのは、発行元が存在し続ける限り利払いを受けられるという債券ですが、その代わり元本の償還はありません。
例えば、3兆ウォン出資したとして、利払いが年間5%だとすると、発行元の会社が飛ばない限りは年に1,500億ウォンの利払いをずっと受けられますが、元本の3兆ウォンは返ってきません。
元を取るだけでも20年もかかるような代物ですので「いかがなものか」なのですが、韓国では傾いた会社を建て直すのにこの永久債がよく登場します。
つまり金融支援の一貫として使われるわけです。
韓国メディア『ソウル経済』によると、企画財政部・産業通商資源部が本気で考えているとのこと。
全ては『韓国電力』のプランがどのように出てくるのか次第ですが、とりあえず、『韓国電力』が発行する永久債を『輸出入銀行』が引き受けるという構図になる――と推測されています。
もう何度だっていいますが、そもそも一国のエネルギーインフラを引き受けている企業が飛びそうという状況が異常です。
それもこれも電気料金を不当に安くしてきたおかげです。
考えてもみてください。国が赤字を引き受けて安く電気を供給し、そのおかげで韓国の輸出企業は製品を安く作れているわけです。韓国政府は表立って認めませんが、補償金で輸出競争力を増しているに過ぎず、一瞬のドーピングです。
フェアな競争とはいえません。
不正競争を国が後押ししてきたわけですから、今になって(文在寅政権の無茶苦茶なエネルギー政策のせいもあります)『韓国電力』が飛びそうな事態になっても「身から出た錆」以外の感想を持つのが困難です。
興味深いことに、一部では「(今になって)民営化しよう」という声も上がっているのですが、これに野党『共に民主党』が反対しています。
反対の理由が傑作で「電気代が上がると輸出産業の収益性に影響を及ぼすから」だそうです。自分で今まで公正な競争をしてきませんでした、といったも同然です。語るに落ちたとはまさにこのこと。
よその国のことなので放っておけばいいのですが、『韓国電力』がどのようになるのか、また韓国政府の判断についてご注目ください。どうするのかは本当に見物ですから。
(吉田ハンチング@dcp)