アメリカ合衆国財務省のジャネット・ルイーズ・イエレン(Janet Louise Yellen)長官が訪韓するので、この機会に「通貨スワップを要求しろ」と韓国メディアが書き立てています。
いちいち拾っているときりがないのですが、「日本が締結できているのだから韓国もできるはずだ」という書き様の記事があったのでご紹介しておきます。
主旨としては、
合衆国の望むとおりにインド太平洋経済フレームワーク(IPEF)に協力する旨を表明し、バイデン大統領に巨額の対米投資も約束した。だから、合衆国は通貨スワップを要求すべきだ
――というものです。
述べているのは、オ・ジョングン『韓国金融ICT融合学会』会長・自由市場研究院長です。
以下に記事から一部を引用します。
(前略)
合衆国が推進している対中包囲戦略で、日本と一緒に韓国は東アジアの重要なボールであることは言うまでもない。(中略)
合衆国は日本とは常設無制限の通貨スワップを締結して同盟を保護している。
米国は、同盟国として認められているイギリス、ユーロ圏、スイス、カナダ、日本などと常時無制限の通貨スワップを提供し、経済安全保障を支持している。
経済が安定しなければ同盟の役割もできない。
韓国も東アジアで合衆国の対中包囲戦略で重要な同盟として浮上しているので、日本と同じ常時通貨スワップを強く要請しなければならない。
韓国は合衆国にとって重要な同盟としての役割を果たすのだから、日本と同じような扱いをすべきと主張しています。つまり、韓国は合衆国にとって日本と同様に大事なコマであるはずだと思い込んでいらっしゃいます。
これは韓国人識者にありがちな「相対的な思考ができない」「相手の立場に立って考えることができない」「自意識過剰」「自国を高く評価し過ぎ」という典型的な例といえます。
この方は、肝心なことを忘れています。
1万歩譲って、韓国が対中国包囲網で重要な役割を果たしたとしても、金融面において韓国は日本の代わりになるような重要な国ではありません。
「通貨スワップ」締結うんぬんという話での焦点は、その国の持つ通貨に何かあったときに合衆国経済が大きな損失を被ってしまうかどうか――なのです。
合衆国(連銀)が日本を含む「5つの国と地域」の中央銀行とドル流動性スワップ(韓国側の呼称は「通貨スワップ」)のラインを常設化しているのはそれが理由です。
韓国ウォンのような全世界での取引量が(いって・こいの総量200%の)2%にしかならないようなローカルカレンシーは、日本円の代わりにはなりません。
韓国の識者はなぜか「韓国はすでに日本を追い越している」あるいは「韓国は日本と同等になった」などと考えがちですが、とんでもない「思い上がり」です。
日本は世界最大の債権国で、それを背景にした日本円の信用は絶大で、韓国ウォンなど日本円の足元にも及びません。
「同盟としての価値が日本と同等なのだから」などという話は誇大妄想もいいところです。韓国の「識者」なる人の認識がいかに自意識過剰かを示す例ともいえるでしょう。
韓国の識者の皆さんは、まず「日本にできるなら韓国にもできるはず」という妄想を捨てるべきです。
(柏ケミカル@dcp)