日本では『いずも』を軽空母に改装中で、なんの対抗意識か分かりませんが、いまだかつて外洋海軍を運用したことがない韓国でも「韓国版軽空母」を建造するという話になっています。
しかし、「空母」というのはそれ単体では行動できません。空母を護衛するための随伴艦が必要で、力を発揮するため(パワープロジェクション)には「空母機動部隊」としなければなりません。
では、随伴艦も含めて「空母機動部隊」を調達するにはいくらかかるのでしょうか。
「防衛大学校安全保障学研究会」武田康裕先生と武藤功先生の名著『コストを試算!「日米同盟解体」国を守るのにいくらかかるのか』に調達コストについての試算が掲載されています。
以下に引用します。
空母機動部隊の推定取得経費[単位:億円]
編成 数量 単価 所要経費 正規空母 1 2,900 2,900 艦載機[FA18] 80 48 3,840 護衛艦 6 1,475 8,850 巡航ミサイル 48 5 240 潜水艦 2 598 1,196 巡航ミサイル 16 5 80 補給艦 1 570 570 総計 17,676 ⇒参照・引用元:『コストを試算!「日米同盟解体」国を守るのにいくらかかるのか』(武田康裕|武藤功,毎日新聞社,2012年06月30日発行)p.171
日本が「空母機動部隊」を調達するためのコストは「1兆7,676億円」です。
上掲では戦闘攻撃機「FA-18」を取得した場合に「3,840億円」となっていますが、これはあくまでも取得だけで、維持費も計算するとさらに金額は膨らみます。
同書では「イギリス議会に提供された空母更新計画」によると、「維持経費を調達費の1.5倍とし、80機を購入した場合の総経費は、総額120億ドル(9,600億円)である」としています。
また、空母に搭載される艦載機によって大きく調達コストが変わることを指摘されています。
現在日本は空母用に「F-35B」を搭載しようとしています。上掲の「FA-18」が「F-35」になると、
他方、次世代機F35ライトニングは1機当たり1.91億ドル(153億円)、維持経費をその2倍とした場合、80機の総額は458.4億ドル(3.67兆円)となる。
とのこと(上掲同書p.170より引用)。
40機を導入するとして3.67兆円の半分ですから「約1.9兆円」になります(維持経費込みの価格)。
上掲を「F-35B」に置き換えた場合、以下のようになります(ただし上掲の表組がFA-18が維持経費込みでないため、以下の表組のF-35Bも維持経費込みでない数字です)。
編成 | 数量 | 単価 | 所用経費 |
正規空母 | 1 | 2,900 | 2,900 |
艦載機[F35B] | 40 | 153 | 6,120 |
護衛艦 | 6 | 1,475 | 8,850 |
巡航ミサイル | 48 | 5 | 240 |
潜水艦 | 2 | 598 | 1,196 |
巡航ミサイル | 16 | 5 | 80 |
補給艦 | 1 | 570 | 570 |
総計 | 19,956 |
「1兆9,956億円」、ざっくり「2兆円」です。
「空母機動部隊」を調達するだけでも莫大なお金がかかるのです。
(柏ケミカル@dcp)