韓国政府の財政が赤字化し、赤字が継続しています。「韓国で懸念される双子の赤字」といったタイトルの記事が韓国メディアに出ることが多くなりましたが、「双子の赤字」の片一方は「財政赤字」です。
今では信じられないことかもしれませんが、韓国政府財政は2018年までは黒字で回っていたのです。
文在寅前大統領の政権下で支出をやたらに拡大し、2019年から政府財政は赤字に転落。2020年のコロナ禍がこれに拍車をかけました。沈下する経済をなんとかするために政府がお金をまかざるを得なかったからです。
この流動性拡大のために政府は負債を増やしました。その流れが2021年、2022年も継続しているのです。
しかし、放置はできませんので、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は財政を締めにかかっています。ここにきて、文前政権がいかに放漫だったのかを証明するようなデータが出てきました。
120兆ウォンが妥当性調査なしで投入された
韓国の企画財政部などによれば、文政権の5年間で「予備的な妥当性の調査なし」で新規事業に120兆1,000億ウォン規模の予算を投入したことが分かりました。
文政権の任期内「2017年05月~2022年04月」に、149の事業で妥当性調査がありませんでした。
朴槿恵(パク・クネ)政権:94事業/25兆ウォン
と計算されていますので、李明博(イ・ミョンバク)政権と比較して事業数で約1.7倍、金額で約2.0倍です。朴槿恵(パク・クネ)政権と比較すれば、事業数で約1.6倍、金額で約4.8倍となります。
本件を報じた韓国メディア『韓国経済』の記事では、以下のように指弾しています。
(前略)
文在寅(ムン・ジェイン)政府は予備的な妥当性調査免除を乱発。妥当性調査なしに大規模事業を相次いで推進した。執権初年に導入した児童手当など、数兆ウォンかかる各種現金性事業が妥当性調査なしに施行された。
金川~巨済区間の南部内陸鉄道建設、平沢~五松鉄道複線化、セマングム国際空港開発事などの国家バランス発展プロジェクト(23兆1,000億ウォン)や加徳島新国際空港(13兆7,000億ウォン)などの大型インフラ事業、韓国版ニューディル(6兆7,000億ウォン)に代表される「文在印」の政策事業も予備調査を免除された。
文在寅政府任期内に国家財政が急速に悪化したのには、このような免除措置が一役買った、という指摘が出ている。
(後略)
まあ挙げればキリがないのでしょうが、とにかく文政権は気前よくお金をまきました。Money1でも何度も取り上げましたが、文在寅大統領が就任した当時約600兆ウォンだった政府負債は、2022年の現在では「約1,043兆ウォン」に達しているのです。
そもそも国家財政法からいっておかしい
文在寅大統領はまごうことなき借金大統領だったわけですが、このような無秩序な予算投入はそもそも許されていないのです。
韓国の国家財政法によれば、予備妥当性調査が免除されるのは、国防関連事業、道路など社会インフラ老朽施設の改善事業、文化財復元事業、災害予防のために緊急に推進しなければならない事業となっているのです。
文在寅大統領は恣意的に予備妥当性調査をスキップしてお金をばらまきました。理由は「国家政策的に推進が必要な事業」だからというのです。
Money1でもご紹介した全く採算性が取れないと予測されている加徳島の新国際空港建設事業もまだ生きているのです。
やっちゃったものは仕方がありませんが、尹政権はこのような文前政権の無茶苦茶な遺産を引き継がないよう、国家財政法に規定された要件をさらに厳しく適用する、とのこと。
また、事前妥当性調査が免除された事業についても「事業計画適正性検討」を設けて事業効果について再評価するとしています。
こんな話が今さら政府から出てくるというのは、先の文政権を貶めたいという動機があるのかもしれません。しかし、文政権が無茶苦茶に政府負債を増やしたのは事実です。これは否定できません。
また、その政府負債の拡大に「採算性を度外視しで新規事業を次々承認した」ことが一役買っているのも確かなのです。どんぶり勘定だったといわれても仕方がないでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)