中国でとんでもない報道が出ました。
↑有料記事ですがタイトルは「Chinese Policy Bank Fined for 2 Trillion Yuan Loan Data Overstatement(中国の政策銀行、融資データの2兆元過大計上で罰金を科される)」です/紙面のスクリーンキャプチャー⇒参照・引用元:『財新』「Chinese Policy Bank Fined for 2 Trillion Yuan Loan Data Overstatement」
中国三大政策銀行の一つである『中国農業発展銀行』※が、金融統計管理違反により、中央銀行『中国人民銀行』から最高1,700万元の罰金を科された――というのです。
※中国語では『中国农业发展银行』/『ADBC』。
驚くのは、『中国農業発展銀行』が2兆元規模の偽装融資に関与していた――と報じられていることです。
2兆元ですから、現在のレートで約44兆円です。無茶苦茶な金額です。
注目すべきは「渉農貸款」! 農業ローン(融資)とは何か?
『中国農業発展銀行』が金融統計管理規定の違反で複数支店に対して行政処分を受けており、複数の地方人民銀行支店が警告 + 罰金処分を公示している事実が報道されています。
『財新』などのメディアでは、2025年下半期の検査で農業関連融資の統計が過大計上(約2兆元)されていた可能性がある――と報じているのです。
今回のキーワードは「農業」です。
『中国農業発展銀行』が偽装して2兆元も上乗せしていたのは、「涉农贷款」という農業関連ローンです。
まず「涉农贷款(農業関連ローン)」とは何か――です。
中国では、「農業・農村・農民(これを「三農」といいます)に資する融資は、通常の商業融資とは別に 「涉农贷款」(渉農貸款:略称「渉農」) として統計管理されます。
典型的な渉農貸款というのは、
農家向け融資
農業協同組合向け融資
農産物の生産・加工・流通
農機具・種子・肥料
農村インフラ(灌漑、水利、農道など)
――などです。
Money1でも少しだけご紹介したことがありますが、習近平さんはじめ中国共産党当局は「三農問題」を極めて「重要」と考えています。
貧富の差を埋めるなければならない――というのが公式なスローガンであり、渉農貸款は農業・農村・農民を豊かにすることが、(それがただの言い分にせよ)中国共産党に正当性ともたらす――と考えるからです。
よって「渉農貸款」は、その原動力であり簡単にいえば「農業・農村・農民」にお金をまくことでもあるのです。
農業・農村・農民のために……を隠れ蓑に偽装融資を膨らませた!
この渉農貸款の性格が利用されました。
ここで重要なのは「渉農貸款」が、
政策評価
幹部のKPI
地方政府への配分
中央の「三農政策」の成否
――に直結する「政治的に極めて重要な数字である」という点です。
早い話が党の覚えがめでたくなるように融資を膨らますためのインセンティブが働くということです。
『財新』などの報道を総合すると、本来は「渉農貸款」に該当しない融資を、渉農貸款として計上し
地方政府の融資平台(LGFV)向け融資
工業団地・インフラ・倉庫建設
企業向けの運転資金
土地整理・不動産周辺事業
これらを「農村振興」「農業インフラ」「農業関連支援」という名目で「渉農貸款」に分類していました(これが偽装計上)。
要するに、評価されやすい「融資の見せ方」でその金額を膨らませて、その実、金を抜いていたのです。
ここからは推測ですが、抜いたお金は――、
地方政府の財政赤字の穴埋め
既存債務のロールオーバー
利払い・元本返済
LGFV(地方融資平台)への資金注入
――に使われたものと推測できます。結果として中央銀行・中央政府を騙したわけです。
メディアによっては「習近平が激怒した」と書いていたりしますが、そんな事実は確認できません。

ただし、習近平さんが激怒しても別に不思議ではない案件ではあります。
(吉田ハンチング@dcp)






