韓国の与野党間で対立が激化しています。
2022年09月08日、野党に転落した『共に民主党』の党首になってしまった李在明(イ・ジェミョン)国会議員が検察に起訴されました。
大統領選挙期間に虚偽の事実を述べたという疑いで――です。
疑いも何も、李在明(イ・ジェミョン)さんは「明らかにうそとした考えられない発言」を重ねています。しかも、それは録音されたり、公文書に残ったりして、もはや逃げられそうにないのです。
普通の人が思うだろう心証は真っ黒で、よくまあ『共に民主党』、そして党の支持者・有権者もこんな人物を党首に選んだものです。
ココに至っては仕方ないと腹をくくったのでしょう、『共に民主党』指導部は「これは野党を貶めるための政権の企み」とする政府批判を強めています。
しかし、『共に民主党』の政府批判は的はずれなものばかりです。
『共に民主党』の批判こそ政治的で的外れ
例えば、「国会初日に検察に出頭を求めるとは、政権の意志を感じざるを得ない」という批判があります。逆です。
もし、李在明(イ・ジェミョン)さんを起訴し、逮捕までスムーズに進めたいなら国会が開催される前にもっていってなければおかしいのです。
なぜなら、国会議員には国会開催中には逮捕されないという特権があるからです。
検察は不逮捕特権を行使できる時期まで、わざわざ待っていたことになります。『共に民主党』の言うように政治的なものなら、もっと早く起訴されていなければおかしいのです。
なぜ、こんなことになったかというと、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領-韓東勳(ハン・ドンフン)法務部長官ラインによる、「検察の再編」および「検察から捜査権を完全に剥奪する法への対抗策」に時間がかかってしまったため――と考えられます。
そうでなければ、疑惑が提起されたのは2021年中だというのに、ここまで手をこまねいていたことの説明がつきません。
『共に民主党』の指導部がどんなふうに尹政権を批判しているかを見てみましょう。
ちょうど『朝鮮日報』の記事にまとめたものがあります。以下に記事の一部を引きます。
(前略)
朴洪根(パク・ホングン)院内代表は同日、緊急最高委で、「あり得ないことが起きた。
野党の党代表をいけにえとして、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領本人の無能と失政を隠そうとする低劣で不当な最悪の政治的起訴であり、民生経済(政策の)無能で低下した支持を司法公安政局で挽回しようとする、国民の誰もが納得できない『反協治』であり暴挙だ」
と批判した。
鄭清来(チョン・チョンレ)最高委員は
「他人に涙を流させれば、自分は血の涙を流すということを肝に銘じてほしい」
と述べた。
朴賛大(パク・チャンデ)最高委員は
「(尹大統領の)任期が保障されない可能性が高いと思う」とし、
高ミン廷(コ・ミンジョン)最高委員は
「韓国の歴史では民主主義を破壊した指導者の言葉によって、常に悲惨なことになったことを肝に銘じてもらいたい」
と語った。
安浩永(アン・ホヨン)首席広報は
「大統領候補に対する公職選挙法違反による起訴は初めてだろう。軍事政権よりさらに強い検事政権の政治弾圧だ」と述べた。
党内の「尹錫悦政権政治弾圧対策委員会」は同日午前、ソウル中央地検で抗議の座り込みも行った。
(後略)⇒参照・引用元:『朝鮮日報(日本語版)』「李在明代表起訴、共に民主党が緊急会議『尹大統領の任期は保障されない可能性高い』」
上掲のとおり、検察の起訴について「政治弾圧で不当」「政治的な報復である」と批判しているのですが、誰一人として、
「李在明(イ・ジェミョン)党首は虚偽を述べていない」
「李在明(イ・ジェミョン)党首はうそを言ったのではない」
とは述べていません。
つまり、『共に民主党』指導部の政府への反発は、「これは政治的な戦いだ」というばかりで、「事実を法的に争うもの」とはしていないのです。
これは露骨で愚かな論点ずらしです。
そのうち、「李在明(イ・ジェミョン)党首はうそを言ったかもしれないが、それよりも尹政権による政治的な報復の方が大きな犯罪だ」ぐらいは言い出しかねません。
本件は、「李在明(イ・ジェミョン)党首が大統領選挙中に明らかなうそを事実として述べたのか」が焦点です。もし述べていたら、それは公職選挙法に違反しており、犯罪です。
犯罪を犯したのなら、法の規定どおりに裁かれる――それだけの話です。
『共に民主党』の抵抗は続くでしょうが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領、韓東勳(ハン・ドンフン)法務部長官は正面突破が信条のコンビです。このラインの下にある検察もひるまないでしょう。
李在明(イ・ジェミョン)党首と『共に民主党』がどんなカードを切ってくるのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)