韓国野党『共に民主党』の李在明(イ・ジェミョン)党首は検察から公職選挙法違反で起訴されています。
党首が危ないと同時に、『共に民主党』自体も約432億ウォンに及ぶ巨額選挙費用の返還を求められる可能性が高まり、危機的な状況です。
何がなんでも李在明(イ・ジェミョン)党首を守らないと、自分の身も危ないというので、『共に民主党』はなりふり構っていられなくなっています。
そこで今度は、「監査院から監査権を奪う法案」なるものを取り出しました。
監査院は政府機関を調査できる強力な権限を持つ
先にご紹介したことがありますが、韓国の監査院は政府の機関を調査し評価するための非常に強い権限を追っています。
例えば、原発「月城1号機」の廃炉が決定されたのは「大統領府からの強い働きかけ」があったのではないか、という疑惑をつまびらかにしたのは監査院による監査でした。
「月城1号機の廃炉はいつ決定するのか」※という文在寅前大統領の鶴の一声があり、それに忖度した産業通商資源部が、「まだ稼働できるしその方がコスパもいい」という意見具申を握り潰しました。
※正確には「月城原発1号機の恒久的な稼働中断はいつ決める計画なのか」と言ったとなっています。
また、監査の目から逃れるために廃炉関係の資料を公務員が廃棄に及んだ、という件まで明らかになったのです。しかも夜中に自分のオフィスに忍び込んで証拠隠滅作業を行うという悪辣さでした。
驚く他ありませんが、政府機関、公務員の抵抗に遭いながら監査院は13カ月かけて粘り強く監査を行い、種々の事実を国民の目に見えるよう明らかにしたのです。
ことほどさように監査院は強力な組織で、しかも監査院の監査作業を各政府機関は拒否することはできません。大統領に直属する組織なのですが、法によって独立性が担保されています。
捕まりたくない一心の「呆れる法案」
捕まりたくない一心で政権末期に通過させた「検察から捜査権を完全に剥奪する法」に続いて、今度は「監査院から捜査権を剥奪する法案」です。
どのような法案かというと、ポイントは以下の2点です。
2.「政府の重要政策決定および政策目的の当否」は監査禁止事項とする。
「1」は、監査計画が「国会で承認されない限りできない」とするもので、監査を国会で潰すことができるようにしようという意図があります。
自分たちが国会で多数派ですので、いかようにもできるという考えなのです(少数派に転落したらどうしようなどとは微塵も考えておらず「とにかく今がしのげればいい」のです)。
「2」はもっと露骨です。前政権の政策が監査されるのを防ぎたいだけです。
よくまあ、これほど恥知らずな法案が作れるものですが、とにかく自分たちが捜査されたくないのです。
上掲のとおり、監査院は非常に強力な監査権を持っています。この部隊が政府機関を調査すれば、文在寅前大統領の下で、政府機関が「何をしていたのか」が明らかにできるでしょう。
不法なことが起こっていたなら検察が起訴を行うことができるでしょう。監査院と検察のコンビネーションで文政権の不都合な真実を明らかにできるかもしれません。
それでは困るので「監査院から監査券を完全に剥奪する法案」という驚くようなことを言い出しているのです。
人間は保身に走るとここまで卑劣なことを思いつくのか、と呆れるしかありません。国会の過半数は『共に民主党』が押さえているので、党の議員が全員賛成すれば、この法案は通すことができます。
しかし、仮に『共に民主党』がこの法律を単独採決で通過させたとしても、国民の支持を得られるとはとても考えられません。
「検察から捜査権を完全に剥奪する法」を通過させて『共に民主党』の支持が大きく落ちたことを覚えていないのでしょうか。もし、(上程できたとして)これを強行採決するなら国民の支持を失うのは明らかです。
それでも行うなら、『共に民主党』はすでに国民を代表する政党ではありません。保身のみしか考えないただの権力志向集団です。それはそれで韓国の政党らしいですが、国民にとっては不幸なことでしょう。いや、ふさわしいといえるのでしょうか。
韓国民あっての『共に民主党』なのですから。
(吉田ハンチング@dcp)