韓国の半導体セクターの業績悪化が懸念されています。韓国は半導体強国と誇っていますが、これはメモリー半導体に限った話。世界的にIT需要が低迷し、メモリー半導体価格が下落したことで強い逆風を受けています。
懸念されるのが、韓国半導体輸出の屋台骨を支えている『サムスン電子』の業績です。
先にご紹介したとおり、一方の雄である『SKハイニックス』は2022年第4四半期利益が1兆ウォン程度の赤字転落と見られています。
韓国メディア『毎日経済』が『サムスン電子』の業績予測について興味深い記事を出していますので、一部を以下に引用します。
26日、『毎日経済』が去る22日以降に報告書を出した証券会社7カ所の実績見通し(コンセンサス)を集計した結果、『サムスン電子』の第4四半期連結基準売上見通しは、69兆8,740億ウォンで昨年同期(76兆5,660億ウォン)より8.7%減少すると予測された。
売上高は、2018年第4四半期(59兆2,651億ウォン)以後、毎年増加してきたが4年ぶりに初めて減少すると見られる。
第4四半期の営業利益はさらに大幅に減少すると予想される。
第4四半期の営業利益は6兆630億ウォンで昨年同期(13兆8,670億ウォン)より56.3%減ると予想された。
直前四半期(10兆8,520億ウォン)と比較しても44.1%も減少する。
営業利益は2019年第4四半期(7兆1,603億ウォン)以後、毎年上がってきたが3年ぶりに初めて減少すると予想される。
(後略)
2022年第4四半期は『サムスン電子』、そして韓国にとって非常に厳しい業績になるというコンセンサスです。まとめると以下のようになります。
総売上:69兆8,740億ウォン(-8.7%)
営業利益:6兆630億ウォン(-56.3%)
営業利益率:8.7%
※( )内は対前年同期比の増減
営業利益が「56.3%」も減少すると予測です。ご注目いただきたいのは営業利益率で、「約8.7%」と立派な数字に見えますが、『サムスン電子』が営業利益率で一桁%というのはショックなことなのです。
四半期の業績で営業利益率が一桁%というのは、2014年第3四半期の「8.6%」以来のことです。
なにせ『サムスン電子』は2018年第3四半期には営業利益率「26.9%」というボロ儲けとしか言いようがない数字を叩き出したことがあります(このときの営業利益は17兆ウォンを超えています:現在に至るも過去最高益)。
さらにこのコンセンサスでは、
DS部門:1兆8,730億ウォン(-79.0%)
DX部門:2兆4,160億ウォン(-28.0%)
※「DS部門」は半導体関連、「DX部門」は家電およびスマートフォン関連部門。( )内は対前年同期比での増減
となっています。半導体担当部門での営業利益予測はなんと「-79.0%」。対前年同期比でほぼ8割利益が減少する――というのです。
この苦しい時期を『サムスン電子』ほどの体力なら耐えられるでしょうが、問題はいつトンネルを抜けるかです。2023年第1四半期は引き続き「正直しんどい」といわれており、第2四半期に抜けられるかどうかが焦点になっています。
(吉田ハンチング@dcp)