2023年01月03日、『中央日報』に「『いわゆる徴用工問題は01月に解決策に達する』と日本政府に伝達した」という記事が出ました。
韓国政府から日本政府に伝達したのは、2022年12月26日としています。
同紙の記事から一部を以下に引用します。
政府が日帝強制徴用問題(原文ママ:引用者注)解決策に達すると、今月発表する意向を日本側に伝えたという。
先月26日、日韓局長級会議を通じてというのが外交関係者の弁だ。
新年に日韓関係回復の大きな障害である強制徴用問題の解決気味うれしいニュースだ。
北朝鮮の核脅威と米中戦略競争が激化する時期に、韓日協力は韓国の安全保障の重要な要素だ。
プロセスは容易ではなかった。
両国は昨年11月首脳会談に続き、12月には朴振(パク・ジン)外交部長官の訪日などを行った。外交部は昨年08~09月、官民協議会開催、朴長官の被害者面談(09月)、強制徴用賢人会議(12月)など、被害者説得に努力を傾けた。
しかし、政府が仲裁案を先に発表した後、強制徴用被害者(原文ママ:引用者注)を説得する「発表後説得」と「併存的債務引受」方式に問題がないかは、もう一度調べる必要がある。
併存的債務の買収とは、『日帝強制動員被害者支援財団』(強制動員財団)が日本被告企業の賠償金に該当する寄付金を1965年日韓請求権協定で恩恵を受けたポスコなど国内企業から寄付を受けて原告に支給するものだ。
その後、日本被告企業が基金に参加する方式だ。
(後略)
2022年12月26日の局長級会談で、韓国政府は日本政府に「解決策を01月に発表すると伝えた」――としています。また、記事では「併存的債務引受」を解決案としています。
↑韓国政府が解決策としている債務引受の建て付け。債務引き受けには「併存的」と「免責的」の2パターンがありますが『中央日報』の記事では「併存的債務引受」である――としています。
第三者(この場合は『日帝強制動員被害者支援財団』)が債務を引き受けてこれを自称徴用工に支払うという建て付けでいくことは決定した――となっています。
先にご紹介したとおり、債務を引き受ける第三者を設定する場合には、以下の2パターンあります。
『中央日報』では「併存的債務引受」としていますが、もしこれが本当に正しいのであれば、自称徴用工(債権者)から債務者とされた日本企業はそのまま債務者として残って、『日帝強制動員被害者支援財団』と共に債務を支払うというスキームになります。
この時点で問題が2つ。
この債務引受のスキームを実現するためには、債務者(日本企業)と新債務者(『日帝強制動員被害者支援財団』)の間の合意だけではダメで、債権者(自称徴用工)の同意が必要になると考えられるのです。
すなわち、
1.日本企業は自身を債務者と認めることになる
(1965年の日韓請求権協定で朝鮮半島における債務は全てなくなったという契約に反す)
2.債権者がこれに同意するのか
が問題です。
『中央日報』の書きようですと、このスキームを決めてから「後で説得する」となっています。話の進め方が逆です。韓国の民法に違反しないのか、という疑問が湧きます(法治があるようでない国ですからこれでいいと考えているのかもしれませんが)。
日本にとっては「1」が大問題です。「自らを債務者と認めること」は致命的な誤りで、絶対に行ってはならないはずです。岸田政権はこれをよしとするのでしょうか?
(吉田ハンチング@dcp)