2023年02月22日、『韓国銀行』が2022年の「International Investment Position」(対外資産負債残高:略称「IIP」)を公表しました。
先に政府の対外債務が異常に増加している件をご紹介しましたが、この他にも見どころはあります。その一つが「韓国売り(セルコリア)」の状況です。
一般に、セルコリアとは外国人投資家が韓国のドメスティックな資産を売却して、資金を抜くことをいいますが、2022年のIIPのデータにこれが如実に現れています。
以下をご覧ください。今回公表されたIIPから切り出したものです。「資産・負債の表組」の「負債の部」です。
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「International Investment Position(2022)」
証券投資で大きく資金が抜けています。
Equity Securities(株式):4,454億ドル(-2,006億ドル)
Debt Securities(債券):3,634億ドル(+185億ドル)
計:8,088億ドル(-1,821億ドル)
外国人投資家による韓国の株式への投資金額の残高は、2022年末時点で「4,454億ドル」で、対前年比でなんと「2,006億ドル」(約27兆850億円)も減っています。
2022年には外国人投資家は、日本円で約28兆円もの韓国株式を売却して資金流出させたのです。
これがセルコリアでなくてなんでしょうか。
債券の方では185億ドル資金を入れていますので、Securities(証券類)全体では「-1,821億ドル」です。
しかし、この2022年の「株式:-2,006億ドル」は相当です。2019~2022年の証券投資の負債残高の推移(外国人投資家が保有しているため韓国から見ると負債になる/外国人投資家からすれば資産)は以下のようになります。
巨額を売却したため、2022年に外国人投資家が持つ韓国株式のドル換算額は、2019年よりも少なくなったのです。
韓国は外国人投資家の資金投入に期待していますが、経済が低迷しているので、リスクオン方向で外国人投資家が動いてくれるかどうかは不明です。
韓国経済がさらに傾くのなら、外国人投資家はさらに売却に動くかもしれません。世界の金融動向が絡んできますので予断を許さないでしょう。
(柏ケミカル@dcp)